苛性ソーダ貯槽改修工事
某化学薬品工場にて2022年1月に施工した塩酸貯槽と同様に今回は苛性ソーダ貯槽の改修工事を行いました。
当該槽は塩酸貯槽と同様に30年以上経過していますが、地下に設置されているため紫外線による外面劣化は少ない状況です。
しかし、内面は塩酸貯槽同様に劣化に伴う硬度低下が認められ、バーコル硬度が10前後と危険なレベルとなっており、さらに驚くことに外面にまで割れが生じていました。(画像下2枚参照)
新規製作時に内壁面の最上層(接液面)に有機繊維がなく、ガラス繊維が露出していたのではないかと思う痕跡があり、これが上述した外面割れの要因として疑われました。
画像(下)はケレン後ですが画像右側に帯状に白く見えるのは有機繊維でなくガラス繊維です。
画像(上)の槽側面に確認できる穴は、マンホール取付用のものになります。天井部が狭く槽内に入れなかったための対応となっています。
画像(上2枚)は槽内洗浄とケレン後となります。
画像(上2枚)は耐食性の高いビニルエステル樹脂をマトリックス樹脂として用い、強化繊維に#450チョップドストランドマット4プライ、最外層に有機繊維1プライ、更にその上からトップコートを施工した後のものなります。苛性ソーダ貯槽の内壁前面が、新たな材料によって被覆されている様子がわかります。
マンホール取付と割れ部補修後で工事完了となりました。画像(上)に映るのは新たに取り付けられたマンホールです。(奥にマンホールが見えるのが塩酸貯槽)
当該工事により30年以上経過した苛性ソーダ貯槽は、内壁に新規のFRP層が形成されたことで生まれ変わりました。この対応の結果、新たに10年以上の設備寿命延長が期待されます。
おそらく塩酸貯槽と苛性ソーダ貯槽は対に設置されている工場がほとんどだと思います。内容液が違えど、どちらも長期利用することで槽自体の構造部材の劣化は進行します。今回はこれらの槽に対して劣化診断を行ったことが、今回の改修工事実施の判断につながりました。
このような取り組みは設備の長寿命化につながります。使用済みFRPタンクの埋め立て廃棄を削減することで環境問題改善に貢献し、同時に新規FRPタンク製作による材料資源使用や新規入替えコスト削減が可能となるのです。
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