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FRP製品を笑顔と共に
2019-07-27

一般高圧ガス保安規則とFRP複合容器

一般高圧ガス保安規則とFRP複合容器

当社が4月より開始したFRP廃棄物処理事業において一般複合容器(FRP複合容器)廃棄処理は反響が大きく問い合わせも多く寄せられています。

 

本日はFRP複合容器に関連する内容を一般高圧ガス保安規則のご紹介も交えながら簡単にご説明します。

 

一般複合容器(繊維強化プラスチック複合容器)とは、ライナーに、周方向のみ又は軸方向及び周方向に樹脂含浸連続繊維を巻き付けた複合構造を有する容器と定義されています。

 

そして、一般高圧ガス保安規則の第18条【貯蔵の方法に係る技術上の基準】には、15年を経過したものは用いないよう、明確に定義されています(以下、参照)。

 

一般高圧ガス保安規則

第18条 【貯蔵の方法に係る技術上の基準】

※一部抜粋

 

②容器(高圧ガスを燃料として使用する車両に固定した燃料装置用容器を除く。)により貯蔵する場合にあつては、次に掲げる基準に適合すること。

 

一般複合容器等であつて当該容器の刻印等において示された年月から十五年を経過したもの

(中略)

前月から起算して十五年を経過した月を経過したもの)を高圧ガスの貯蔵に使用しないこと。※第50条 【その他の場合における移動に係る技術上の基準等】(車載向けの複合容器、高圧容器等)においても同様に15年を経過したものは使わないと明記されています。

 

 

その一方で、廃棄に関する記載は明確な基準等が書かれているのではなく、

廃棄作業における安全性関連の記載がされているに過ぎません。

 

第62条 【廃棄に係る技術上の基準】

一 廃棄は、容器とともに行わないこと。

二 可燃性ガス又は特定不活性ガスの廃棄は、火気を取り扱う場所又は引火性若しくは発火性の物をたい積した場所及びその付近を避け、かつ、大気中に放出して廃棄するときは、通風の良い場所で少量ずつ放出すること。

三 毒性ガスを大気中に放出して廃棄するときは、危険又は損害を他に及ぼすおそれのない場所で少量ずつすること。

四 可燃性ガス、毒性ガス又は特定不活性ガスを継続かつ反復して廃棄するときは、当該ガスの滞留を検知するための措置を講じてすること。

五 酸素又は三フッ化窒素の廃棄は、バルブ及び廃棄に使用する器具の石油類、油脂類その他の可燃性の物を除去した後にすること。

六 廃棄した後は、バルブを閉じ、容器の転倒及びバルブの損傷を防止する措置を講ずること。

七 充塡容器等のバルブは、静かに開閉すること。

八 充塡容器等、バルブ又は配管を加熱するときは、次に掲げるいずれかの方法により行うこと。

イ 熱湿布を使用すること。

ロ 温度四十度以下の温湯その他の液体(可燃性のもの及び充塡容器等、バルブ又は充塡用枝管に有害な影響を及ぼすおそれのあるものを除く。)を使用すること。

ハ 空気調和設備(空気の温度を四十度以下に調節する自動制御装置を設けたものであつて、火気で直接空気を加熱する構造のもの及び可燃性ガスを冷媒とするもの以外のものに限る。)を使用すること。

 

このように廃棄に関しては容器の廃棄方法は明記されておらず、

高圧ガス保安協会の担当部署に確認もしましたが特に定めはないとのことです。

 

つまり一般高圧ガス保安規則においては、

FRP複合容器等の廃棄について廃棄時期は明確にされている一方、

具体的な廃棄方法については規定が無いのです。

 

このため、FRP複合容器の廃棄方法は各社各様であり、

国内での当該方法についての理解が不十分である可能性があります。

 

さらにFRP複合容器廃棄に関する問い合わせの増加要因のひとつとして大きいのが、

今までは寿命を迎えたFRP複合容器を廃棄物処理業者が引き取らなくなり国内に滞留し始めたことです。

引き取らなくなった要因は中国での廃プラ受入れができなくなったことで、

売れなくなったのです。

 

今まではFRP複合容器を処分するメーカーなどがお金を払い廃棄物処理業者に引き取ってもらい、それに穴などをあけてそのまま中国に輸出することで対価を得る構図でした。

 

この構図が成り立たない現状では国内で処分するしかありませんが、

上述の通りFRP複合容器の廃棄に関する知見が国内で不足していることもあり、

埋め立てをするしか方法がなく、引取り金額も高騰します。

 

そこで当社では、

容器内面の金属ライナーと補強材であるFRPを特殊設備により分離する手法を採用しています。

 

分離した金属は再利用し、FRPも再利用の体制を着実に進めております。当該処理は提携する産業廃棄物中間処理業者にて適法処理し、マニフェストも発行します。

 

当社のFRP複合容器廃棄方法の概要については「FRP複合容器廃棄処理対応」のページをご覧ください。

 

このような取り組みは海外でも紹介されています。

※ 当社のFRP廃棄物処理事業がJEC Groupのリリースに掲載されました

 

FRP複合容器の不法投棄を無くし、持続可能な地球環境の実現への取り組みとして、今後も当社は本事業を推進してまいります。

 

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