株式会社 FRPカジ メールマガジン
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2022年10月3日
第十八回:FRP製品の真実~不適切な硝フッ酸槽のFRP補修例と状況
<目次> ━━━━━━━━━━━━━━━━
・FRP製品の真実~不適切な硝フッ酸槽のFRP補修例と状況
<FRP製品の真実~不適切な硝フッ酸槽のFRP補修例と状況>
前回メルマガでは全4回にわたり当社の経験を元に不飽和ポリエステルの硬化不良発生、
硬化不良発生時の初期対応、
硬化不良発生の仮設立案と考察による硬化不良の原因の推測、
硬化不良という問題がおこらないために必要な対応を述べさせていただきました。
今回のメルマガでは前回までの硬化不良に関しての当社の見解や立案を踏まえて、
FRPでは扱いが難しいとされる硝フッ酸槽の劣化と不適切な補修並びにその対策に関する内容として、
以下の4回にわたって取り上げたいと思います。
-不適切な硝フッ酸槽のFRP補修例と状況
-不適切なFRP補修による問題と現場環境
-不適切な補修に対する自社技術を用いた緊急対応
-問題回避に向けて硝フッ酸を用いる企業の取るべき対策
【不適切な硝フッ酸槽のFRP補修例と状況】
2020年8月お盆休み直前に硝フッ酸槽(6000×2500×2200H)の外側鋼鉄製壁より、
硝フッ酸が漏れているのでなんとか休み期間中に補修改修をして欲しいと依頼がありました。
当該槽は元々鋼鉄槽だったものに、ゴムライニングを施したものです。
恐らく初めにライニングされたゴムが腐食して、薬液が鋼鉄槽に浸透したので施主が補修業者に依頼したと推測します(時期は不明)。
依頼されたFRP補修業者は内容液が硝フッ酸にも関わらず、
単純にガラス繊維強化のFRPライニングで塩酸や硝酸同様に腐食を防げると考えたのでしょう。
施工業者はゴムライニングの上から、全面にFRPライニニングを直接施したことでいくつかの問題が生じています。
一点目がゴムライニングとFRP間の接触面付近を中心としたFRPの軟化現象です。
ゴムライニング中の可塑剤や劣化防止剤などの添加材がFRPにブリーディングによって移行することで、
FRPの軟化などの問題が生じていると推測します。
また本事象はFRPとゴムライナー間の接着力低下にも直結します。
さらに接液面では硝フッ酸が含有されているにも関わらず、
硝フッ酸に冒されるガラス繊維を最上層のFRPの強化繊維に使用したことで薬液がFRP中に浸透し、
表面層も即腐食したと考えられます。
加えてその状態から数年の間にかけて行われた補修は、
腐食していると思われる箇所を四角く(200ミリ~300ミリ角)マス張りする等、
局所的でかつ暫定対応に終始されていました。
尚、本補修でも硝フッ酸には不適切なガラス繊維が使用されていました。
上述のような不適切な補修を経た硝フッ酸槽と当社は向かいうことになったといえます。
当社が現調を行った際に確認できる穴がありましたが、
これらは不適切な補修の結果として硝フッ酸が母材にまで到達し、
鋼鉄部が腐食したことを示しています。
当社が依頼を受けた時点で穴があいている箇所付近より薬液が漏れており、
数日、数時間の差で槽決壊を免れたと考えられる恐ろしい状況でした。
今回のメルマガではFRP製品の真実~不適切な硝フッ酸槽のFRP補修例と状況についてご紹介しました。
次号メルマガでは、FRP製品製造の真実~不適切なFRP補修による問題と現場環境について取り上げたいと思います。
FRPを取り扱っている方や今後取り扱いたい方にとっての一助となれば幸いです。