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第二十二回:塗装劣化した付帯設備の改修/補修を目的とした塗装適用法5 FRP特殊塗装工法(R)の特徴

株式会社 FRPカジ メールマガジン

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┏┏┏┏ メッキ/表面処理設備長寿命化のための

┏┏┏┏  補修/改修へのFRP活用の基礎知識

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2021年3月1日

 

第二十二回:塗装劣化した付帯設備の改修/補修を目的とした塗装適用法5

FRP特殊塗装工法(R)の特徴

 

 

<目次> ━━━━━━━━━━━━━━━━

 

・「補修/改修へのFRP活用の基礎知識」

 

 

 

<補修/改修へのFRP活用の基礎知識> ━━━━━━━━━

 

前回のメルマガでは塗装劣化した付帯設備の改修/補修を目的とした塗装適用法4として

一般塗装工法とFRP特殊塗装工法(R)による改修案・補修案提示についてご紹介しました。

 

 

今回は塗装劣化した付帯設備の改修/補修を目的とした塗装適用法5として、

FRP特殊塗装工法(R)の成り立ち、耐蝕性発現のメカニズムと特徴について取り上げます。

 

 

【FRP特殊塗装工法(R)の成立ち】

 

某メッキ工場において以前より工場内の天井・柱・梁などのエポキシ塗料を使用した塗り替えは行っていましたが、

あまりにも劣化スピードが速くコストがかかりすぎる事が問題として認識されていました。

 

この状況を踏まえか、

 

「FRPで天井や柱などをライニングできないのか?」

 

という技術相談が増加傾向にあったのが2014年くらいからです。

 

この技術相談を受けて当社も

 

「FRP薬液槽は20年以上経過しても使用できている」

 

という事実があることから、何かしらの手立てがあるのではないかと考えるようになりました。

 

メッキ/表面処理工場ではこれまで、天井・柱・梁などの工場内鋼材部は一般的なエポキシ塗装しかないというのが常識でしたが、

全く異なる視点での検討を行う必要性に迫られていたのです。

 

そこから試行錯誤があり、工場内鋼材部に同じ形状のFRPカバーを工場製作して覆うことや、

実際にライニングするといったことを繰り返しながら色々と考えてみた結果辿りついたのが

 

「FRPフレークライニング」

 

でした。

 

元々は昭和40年代初頭に開発されていた材料で、耐蝕性の優れるビス系ビニルエステル樹脂とフレーク状のガラスを複合したものです。

 

従来の用途は発電所・製鉄・非鉄金属・製紙・化学・ごみ焼却場などの脱硫装置、

脱硝装置に使用され、被覆する対象物を水蒸気や腐食性ガス・薬液・熱・摩耗などによる過酷な腐食から守り、

プラントにおける装置の安定稼働だけでなく、腐食性ガス漏洩防止等の環境保全につながっていました。

 

さらに近年では塩害の影響がある場所でも多く使われていて、工法もコテ塗りからスプレーでの吹付まで選択肢が広くなっています。

 

フレーク樹脂という材料を利用することで、

一般的なFRPライニングの成形工程をカバーできないかと考えました。

しかし、市販されているフレーク樹脂では海水以上の塩分濃度蒸気が立ち上る場所や硝酸・塩酸ガス環境では物足りない耐蝕性しかありません。

 

そこでさらに物性を高めて過酷な環境にも耐えるにはどうしたらいいかと考えた結果、

フレークライニングという従来材料に、当社がFRP成形、補修・改修の経験で培ったビス系ビニルエステル樹脂を組み合わせ、

両者の利点を生かした複合的な材料及び工法を開発しました。

 

詳しくはこちらからもご覧いただけます。

 

https://bit.ly/37eGqcL

 

これにより塩酸や硝酸のFRP槽のように20年以上経過しても使用できる材質に近い状態となり

 

「FRP特殊塗装工法(R)」

 

が誕生しました。

 

 

【FRP特殊塗装工法(R)の耐蝕性発現のメカニズム】

 

ガラス繊維が混在したフレーク樹脂の耐食性について少し見ていきたいと思います。

 

例えば、一般的な塗料であるエポキシ塗料だけを鋼材に塗った場合、

腐蝕の原因となる薬品ガスは厚み方向に対して真っすぐに浸透します。

 

一方、フレーク樹脂はフレーク状のガラス繊維が樹脂に混錬されているため、

薬液ガスが厚み方向に浸透する際、ガラス繊維の存在がその浸透を阻害する役割を果たします。

 

結果として薬品ガスはガラス繊維を迂回する形を繰り返しますので、

母材までの到着が遅れます。

 

これはガラスフレークの遮蔽板効果とも言われ、

薬品ガスの拡散速度を低下させ当該ガス浸透を抑制します。

 

加えて、膜厚が一般的な塗装の10倍~20倍あることも耐蝕性向上の一因といえます。

ガラス繊維で強化することにより、塗料自体の剛性が向上し、厚い塗膜が可能となります。

 

 

次にFRP特殊塗装工法(R)の特徴として、短所と長所について述べてみたいと思います。

 

 

【FRP特殊塗装工法(R)の短所】

 

やはり、コストが短所といえるでしょう。

塗装工程だけで見るとコストが一般的な塗装と比較して3倍~4倍となるため初期投資の負担が増えることになります。

 

またガラス繊維を用いることから表層に凹凸が生じ、

また塗膜自体もかなり厚いため「ぼってり」したような外観になることも、

留意する必要があるかと思います。

 

さらにビス系ビニルエステル樹脂はその極めて優れた耐蝕性を有する一方、

適用できる「仕上げ色」の選択肢が限定され、ビス系ビニルエステル樹脂自体の色合いの影響により、

指定色と色味が異なるということも理解しておく必要があります。

 

 

【FRP特殊塗装工法(R)の長所】

 

長所としてはその卓越した耐蝕性です。

短所では初期投資負担が大きいと説明しましたが、

一般的な塗装は3年~5年間隔で行う必要があることに対し、

使用環境にもよりますがFRP特殊塗装工法(R)であれば15年程度は耐食性を維持することが可能です。

 

その結果、FRP特殊塗装工法(R)は一般的な塗装工法と比較し、

15年後には逆にトータルコストを1/3~1/4に抑制できます。

 

一般塗装工法の方が長期視点ではコストが増加する大きな理由として、

一般的な塗装を施工するには塗装コスト以外にも必ず足場が必要となり、さらに塗料自体の材料費、人件費が加わることが挙げられます。

 

 

 

今回のメルマガでは塗装劣化した付帯設備の改修/補修を目的とした塗装適用法5として、

FRP特殊塗装工法(R)の特徴についてご紹介しました。

 

 

 

次号メルマガでは、付帯設備における一般塗装工法とFRP特殊塗装工法(R)を用いた

改修/補修による効果について取り上げたいと思います。

 

 

 

当社では「改修/補修工事の前段階での劣化診断」に関する高まるニーズにお応えすべく、

当社R&Dセンターの技術相談事業にて対応させていただいております。

 

 

 

設備の老朽化や更新にお悩みの方にとっての一助となれば幸いです。