株式会社 FRPカジ メールマガジン
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2022年11月1日
第十九回:FRP製品の真実~不適切なFRP補修による問題と現場環境
<目次> ━━━━━━━━━━━━━━━━
・FRP製品の真実~不適切なFRP補修による問題と現場環境
<FRP製品の真実~不適切なFRP補修による問題と現場環境>
前回メルマガでは不適切な硝フッ酸槽のFRP補修例と状況についてご紹介しました。
今回のメルマガでは不適切なFRP補修によって生じていた問題と過酷を極める現場環境についてご紹介します。
前回のメルマガで述べた不適切な補修の状況は、
補修工事を進めていく過程で露呈してきた事で、
補修工事初期段階ではわかっていませんでした。
そのため、補修工事を開始した当初は、内面を全面ライニングしてほしい、
という依頼に応じてまずケレンを行いました。
しかし、ケレン終了後、底面をライニングする段階でプライマー処理したのですが、
翌日になってもマトリックス樹脂が硬化しないという硬化不良を起こし、
ライニングが行えない状況でした。
なぜこのような状況になったかと言いますと事前の工事仕様に関する打ち合わせの際に内容液は
「硝酸」
という情報しかお客様より得られないなど、
正確な事前情報が得られなかったということが一因です。
槽の内容液が、フッ酸を含有している
「硝フッ酸(硝酸20%、フッ酸4%)」
である事が判明したのは、
補修工事中に発生した硬化不良等の原因究明のため、
当社にて調査を行った後でした。
さらに、8月の40℃近い猛暑という環境下での防毒マスクと防護服着用の状態での作業に加え、
防護眼鏡を装着しなければ目を開けるのも困難な状況でした。
防護眼鏡装着により汗が眼鏡内部に溜まり目にしみて視界が狭くなり、
さらに視界がぼやけるなど、
作業は想像を超える過酷な環境でした。
槽に対する過去の不適切な補修処理による薬液の浸透が、
さらに補修作業を困難なものとしました。
ケレンすると硝フッ酸ガス噴出に加え、
驚くことにゴムライニング層とFRP層の隙間に硝フッ酸が滞留しており深くケレンを行うと、
まるで水槽が割れて水が流れ出るように硝フッ酸が流れ出てきました。
局所換気を行っていたものの、
作業場の周りで使用していた同硝フッ酸の臭気により、
30分程が作業の限界だったため、
3名で4日間という時間がかかるなど、
大変な補修作業でした。
補修作業以外にも付近にあった当社の電動工具や一斗缶までが酸による酸化現象で錆びてしまい、
着用していた作業着や安全靴、
ベルトに至るまで二度と使用することはできなくなりました。
このように過去に適切な補修が行われてこなかったという事実と、
正確な情報が得られなかったという悪条件が重なったことにより、
最後の砦となる槽の崩壊を防ぐ補修作業が想定をはるかに上回る過酷なものとなり、
補修作業に従事した「人間の安全」という最重要の部分を危険にさらすことになったことは、当社としても大変憂慮すべき事態でした。
今回のメルマガではFRP製品の真実~不適切なFRP補修によって生じていた問題と過酷を極める現場環境についてご紹介しました。
次号メルマガでは、FRP製品製造の真実~不適切な補修に対する自社技術を用いた緊急対応について取り上げたいと思います。
FRPを取り扱っている方や今後取り扱いたい方にとっての一助となれば幸いです。