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第十九回:塗装劣化した付帯設備の改修/補修を目的とした塗装適用法2目視による劣化診断

株式会社 FRPカジ メールマガジン

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┏┏┏┏ メッキ/表面処理設備長寿命化のための

┏┏┏┏  補修/改修へのFRP活用の基礎知識

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2020年12月1日

 

第十九回:塗装劣化した付帯設備の改修/補修を目的とした塗装適用法2

目視による劣化診断

 

 

<目次> ━━━━━━━━━━━━━━━━

 

・「補修/改修へのFRP活用の基礎知識」

 

 

 

<補修/改修へのFRP活用の基礎知識> ━━━━━━━━━

 

前回のメルマガでは塗装劣化した付帯設備の改修/補修を目的とした塗装適用法1として

改修/補修の方向性についてご紹介しました。

 

 

今回は塗装劣化した付帯設備の改修/補修を目的とした塗装適用法2として、

目視による劣化診断について取り上げたいと思います。

 

 

 

【目視による診断対象となる劣化の特徴】

 

‐塗装の錆・剥離:

表面処理やメッキ工場からの依頼に応じて現場確認する際、まず目視にて工場全体の概況を確認しますが、

薬品のガス箇所等を集中的に確認することで、どのあたりで腐蝕劣化が進んでいるか把握できるケースがほとんどです。

 

工場現場の方々が、

 

「劣化が進んでいる」

 

と感じるからこそ依頼をされていることを考慮すれば、劣化状態の概要を把握できるのは自然の事といえます。

 

しかしながら、詳細状況を確認するには、より細部に対する目視診断が不可欠です。

 

劣化が著しく進行すると、塗装そのものや塗装の下地である金属の錆や腐食などにより、

塗装が母材から浮いて剥がれ落ちることもあります。

 

上述した劣化は遠目からは判断できない可能性もあるため、目視による詳細の劣化診断が不可欠です。

 

また、このような進行した劣化は、酸や塩を含む蒸気や溶液にさらされる部分で特に多く確認されますが、

ホイスト等の駆動設備がある場合、その駆動振動で「塗装の脱落」が誘発されることが多いことから、

当該設備近辺で発見しやすい傾向にあります。

 

さらに加筆すべきこととして、塗装が剥離すると塗装そのものが落下することに加え、

塗装の破片が駆動設備の駆動部に入り込むことにより、ホイストなどが動作しなくなるといった駆動障害が起こることもあります。

 

 

‐金属構造部材の腐食:

上述した「錆や剥離」を繰り返すと、塗装と母材の間に錆が積み重なった「ミルフィーユ状態」のものが目視で確認できます。

 

これは劣化がより進行した状態であり、まるで樹木の年輪と同じように綺麗に重なり合っています。

 

このような状態となっているということは、

母材の肉厚が徐々に薄くなっている事の証となることから、

構造物倒壊や落下の可能性が非常に高く危険です。

 

そして厄介なことに工場において下から見上げるような目視確認では、

最上層部の塗装は残っているため、上述の劣化が見逃される可能性があるため、

実際に近くで詳細を目視確認する、または長尺カメラ等で高所をできるだけ近接で確認する、

ということが目視による劣化診断ではポイントとなります。

 

遠隔から確認するだけでは劣化状態が見逃され、

結果としてメンテナンスが先延ばしにされてしまうケースが多いためです。

 

 

 

 

【劣化に対しての目視検査の意義】

 

最初に述べたいのは新築にしても補修・改修での塗装であっても、

 

「環境により必ず劣化が進行し得る」

 

と言うことです。

 

対候性に優れた塗料は各塗料メーカー共に挙って世に出していますが、

硝酸、塩酸などの腐蝕性ガスが蔓延する工場内において、

10年間の耐久性を保証できる商品は存在しないのが現状です。

 

そこで1番大事な事は日々の目視検査だと思います。

 

工場の設備を管理する方々はもちろん、現場で作業する方々は、

手が届く範囲の柱などを見る、そして触ることにより、

日々の変化に注意を払っていただくことが肝要です。

 

更に月に1度は高所設備、例えばホイストクレーン等のキャットウォーク等に昇り、

目視に加えて、触ることで塗装の変化を感じ取ってもらいたいと思います。

 

腐蝕劣化の特徴を念頭に置いた上で、劣化起因による日々の変化を把握することは、

上述した塗装片やホイストクレーン落下による事故を未然に防ぐことにつながります。

 

少しでも異変を察知したら、塗装が浮き上がる、脱落するといった「事象が発生する前」に、

金属や塗装の腐蝕劣化に関する知見を有する業者に目視劣化診断を行ってもらい、

工場の操業に差し付けない直近の長期連休期間中に補修工事を依頼するのが、

長期的なコストを考えると最適な対応だと思います。

 

以上の通り、専門業者による目視劣化診断は大変重要ですが、何より

 

「日々の微小な初期変化を捉える」

 

という「現場の目」が腐蝕劣化を早い段階で検知する重要な役割を果たし、

これこそが目視検査の意義といえると考えます。

 

 

次号メルマガでは、塗装劣化した付帯設備の改修/補修を目的とした塗装適用法3として、

塗装による改修案・補修案提示について取り上げたいと思います。

 

 

 

今回のメルマガでは塗装劣化した付帯設備の改修/補修を目的とした塗装適用法2として、

目視による劣化診断法についてご紹介しました。

 

 

 

当社では「改修/補修工事の前段階での劣化診断」に関する高まるニーズにお応えすべく、

当社R&Dセンターの技術相談事業にて対応させていただいております。

 

 

 

 

設備の老朽化や更新にお悩みの方にとっての一助になれば幸いです。