株式会社 FRPカジ メールマガジン
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┏┏┏┏ メッキ/表面処理設備長寿命化のための
┏┏┏┏ 補修/改修へのFRP活用の基礎知識
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2019年12月2日
第七回: FRP製槽劣化の特徴と生じる問題、
そしてその対策について
<目次> ━━━━━━━━━━━━━━━━
・「補修/改修へのFRP活用の基礎知識」
<補修/改修へのFRP活用の基礎知識> ━━━━━━━━━
FRPを用いた補修/改修の対象のアプリケーション例として、
前回はFRPによる鋼鉄槽の長寿命化に効果がある各種ライニング仕様、
並びに一般的な補修・改修と当社独自のFRP特殊ライニング工法について
ご紹介しました。
今回はFRP製槽の劣化とそれによって生じる問題、
そしてそれに対する対策についてご紹介します。
【FRP槽劣化の状況例】
FRP槽劣化の主なものは以下の通りです。
‐経年劣化により接液面(内面型面)樹脂層がなくなりFRPのガラス層に薬液が浸透し、
層全体の腐食や液圧等により割れなどを起こし液漏れが起こる。
‐製品や設備の槽への干渉・衝撃により割れが起こることで液漏れが発生し、
そこを起点にFRP層に薬液が浸透して液漏れを起こす。
‐薬液種類・温度・濃度に対するFRP材料選定が間違えている場合、
短期間のうちに材料が薬液により溶解して接液面(内面型面)樹脂層がなくなることでFRPのガラス層に薬液が浸透し、
層全体の腐食や液圧等により割れなどを起こし液漏れが起こる。
いずれの場合も薬液がFRPに浸透することがFRP槽劣化の主なメカニズムであることがわかります。
【FRP槽劣化放置によって生じる問題例】
FRP槽を劣化に起因する問題としては液漏れとなりますが、
この液漏れにより更に深刻な問題に発展する場合があります。
それは、当社メルマガ「第三回メッキ/表面処理設備長寿命化に効果がある
アプリケーション
例 2~槽設置ピット」にてご紹介した問題点でもあるFRP槽設置ピットの腐食です。
当該腐食の結果、以下のような問題が発生します。
‐コンクリートからさらに深部浸透することによる土壌汚染の発生。
‐排水システムの機能不全による、汚泥、雨水に加え、規定値を超えた排水や薬液があふれることによる土壌汚染や、直接河川へ流入することによって引き起こされる水質汚染。
‐薬液の漏出による工場作業員への健康被害。
‐薬液の槽設置ピット内への滞留処理対応による操業停止や当該薬液の悪臭による作業効率の悪化。
【一般的なFRP槽劣化に対する対応】
ではこのようなFRP槽劣化を防ぐためにはどのような対策が可能なのでしょうか。
FRPを用いた対応策として以下の方法が考えられます。
‐新規FRP製槽ユニットに入れ替え
‐ひび割れ箇所をFRPオーバーレイ
‐槽内面全体をFRPライニング
FRP槽の劣化がそれほど進行していない場合は、上記のような補修、改修により状況の改善が可能です。
その一方でこのような一般的な対応策では十分に対応できない特殊な劣化事例もあります。
【特殊なFRP槽劣化事例に対する対応】
特殊な劣化事例とは、
「元々あるFRP層に薬液が浸透しているため、
槽内面をライニングやひび割れ箇所を補修しても、
FRP層が含有する薬液によりFRPライニングが硬化不良を起こす場合」
などです。
この状態は以前のメルマガにてご紹介している槽設置ピットの腐食と同様で、
FRP槽内面に薬液が浸透しスポンジのように吸い込んだようになります。
ここまで放置した場合は新規ユニットへの入れ替えか、
前回メルマガにてご紹介した当社独自の「FRP特殊ライニング工法」がもっとも効果的な
対応と考えます。
「既存の槽内に新規のFRP製の槽を新たに構築する」
というコンセプトの当社の「FRP特殊ライニング工法」については、
第6回のメルマガをご参照ください(バックナンバーはhttp://frpkaji.co,jp/にてご覧いただけます)。
今回はFRP製槽劣化の特徴と生じる問題、並びに対策についてご紹介しました。
前回の繰り返しとなりますが、
最近、長期視点でのトータルコストや保全を考える時期に差し掛かった工場が多いと実感しています。
そのような工場に関係する方々にとってのご参考になればと思います。
次号メルマガでは劣化したFRP槽の 改修 /補修を目的としたFRP適用法 をとりあげたいと思います。
設備の老朽化や更新にお悩みの方にとっての一助になれば幸いです。