株式会社 FRPカジ メールマガジン
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┏┏┏┏ メッキ/表面処理設備長寿命化のための
┏┏┏┏ 補修/改修へのFRP活用の基礎知識
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2019年8月2日
第三回: メッキ/表面処理設備長寿命化 に効果がある
アプリケーション 例 2~槽設置ピット
<目次> ━━━━━━━━━━━━━━━━
・「補修/改修へのFRP活用の基礎知識」
<補修/改修へのFRP活用の基礎知識> ━━━━━━━━━
FRPを用いた補修/改修の対象のアプリケーション例としては、前回のFRP槽に加え、
当該槽を設置するピット(以下、槽設置ピット)があります。
槽設置ピットはFRPによる改修/補修による長寿命効果が望めるアプリケーションの一例といえます。
今回はFRPによる設備長寿命化のアプリケーション例として薬液槽を設置する槽設置ピットを取り上げ、まずはどのような劣化や問題が生じるのかについてご紹介したいと思います。
槽設置ピットは工場床にコンクリート等により作られており、設置した薬液槽からの薬液漏れの場合の保全や排水が主な役割です。
通常新設時はコンクリートの床面、壁面を防蝕塗装やFRPライニングを施し、薬液漏洩時のコンクリートへの浸透や腐食を防ぎ、排水機構が正常に作動する状態にあります。しかしながら、長期使用により上記の耐蝕並びにその排水機能が低下することが知られています。
上記で述べた槽設置ピットが、具体的には薬液によりどのように劣化するのか見ていきます。
【槽設置ピットの劣化状況例】
具体的な劣化状況として以下のようなものが挙げられます。
‐防蝕塗装やFRPライニングが腐食し、コンクリートにまで薬液が浸透している。
‐排水システムの連動不具合により薬液面が上昇し、
規定高さ以上に薬液が溜まっている状態になることで、槽設置ピットの劣化の加速と、
液面が接触した場合、槽外壁の劣化が発生する。
‐劣化が進行するとコンクリートが薬液劣化によりゼリー状になっている。
上記の状態は特に溶融メッキ工場に多く見られます。
自社でメッキラインを構築される事業者の方々は、
メッキ/表面処理を行うライン構築費用と保全費用といった設備費用の問題や、
定期監査や近隣住民の要望による行政立ち入り調査への対応等により、
費用的、時間的な不足状況にあることは忘れてはいけませんが、
放置していると問題がさらに大きくなってしまいます。
上記の様な状況が続くことによって起こり得る問題として以下のようなことが挙げられます。
【槽設置ピット劣化放置によって生じる問題例】
‐コンクリートからさらに深部浸透することによる土壌汚染の発生。
‐排水システムの機能不全による、汚泥、雨水に加え、規定値を超えた排水や薬液があふれることによる土壌汚染や、直接河川へ流入することによって引き起こされる水質汚染。
‐薬液の漏出による工場作業員への健康被害。
‐薬液の槽設置ピット内への滞留処理対応による操業停止や当該薬液の悪臭による作業効率の悪化
このような問題を回避するには、槽設置ピットの更新を行うというのが一般的です。
そのためには、工場の操業を止めて薬液槽を移動して槽設置ピット自体を作り替えるという大掛かりな作業が必要となります。
特にコンクリートがゼリー状にまで腐食していた場合、
工場全体の設備を行う業者の立場で考えれば、
今後の保全を考えると新規入れ替えは至極当然の選択でしょう。
しかしこのような設備投資を行うには操業停止により、
売上減少・人件費加算・設備資金準備といった膨大なコストにつながります。
そのため、当社では防蝕塗装やFRPライニングにて改修/補修工事を行うことによる設備長寿命化によって、上記の問題を解決することに取り組んでいます。
一見単純な改修/補修工事という印象を受けるかもしれませんが、
これには事前の調査が極めて重要であり、
その調査結果をこれまでのメッキ/表面処理設備の改修/補修の経験に加え、
使用する材料であるFRPに関する技術的知見も活用しながら、
色々な方法を探るしかありません。
このような劣化の問題や改修/補修工事は今後のメルマガにて詳しく述べていく予定です。
次号のメールマガジンでは、FRPによる設備長寿命化の効果が望める別のアプリケーション例として、「付帯設備」についてご紹介したいと思います。
設備の老朽化や更新にお悩みの方にとっての一助になれば幸いです。