FRPに関連した技能検定:強化プラスチック成形(手積み積層成形作業)

FRPに関連した技能検定:強化プラスチック成形(手積み積層成形作業)

FRPは、今でも多くの手作業で成り立つ職人の世界です。そうした技術の伝承と底上げに関わる制度のひとつが、強化プラスチック成形(手積み積層成形作業)の技能検定です。

強化繊維とマトリックス樹脂を組み合わせた繊維強化プラスチック(FRP:Fiber Reinforced Plastics)は、今でも多くの手作業で成り立つ職人の世界です。

この技術の伝承や拡大にも貢献すると考えられるものの一つが技能検定であり、FRP関係でいうと射出成形(成型)や強化プラスチック成形(手積み積層成形作業)があります。今回は後者についてご紹介します。

目次

技能検定とは

昭和34年から職業能力開発推進法に基づき実施されている国家検定制度です。技能に対する社会的評価の向上と、技能を有する方々の地位向上を図ることを目的としています。

参照元:技能検定のご案内 / 中央職業能力開発協会

技能検定委員とは

技能検定には技能検定委員が大きな役割を果たします。技能検定委員は、技能検定における学科・実技の問題作成や採点から検定試験会場での指導監督まで、当該検定に関する幅広い業務を行います。技能に関連する高い見識を有することを求められ、学識経験者の大学教授や、事業所における技術関連部門での主任担当級以上の地位を経験している者など、専門性と経験を有する者が選定されるとされています。

参照元:技能検定委員とは 〜概要や選定基準を解説〜 / 株式会社ウィルオブ・ワーク

強化プラスチック成形職種(手積み積層成形作業)の中身

職種の定義として、

“主に常温硬化樹脂を使用し、手作業(接触圧)で型(雄型又は雌型を使用)内に強化材(布やグラスファイバ等の繊維マット)に液体状の樹脂等を刷毛(はけ)やローラで含浸させ、脱泡しながら所定の厚さまで積層成形し、常温の大気圧中で放置して硬化させる作業をいう。”

参照元:強化プラスチック成形職種(手積み積層成形作業) / 厚生労働省

FRP工程全体のうち、主に“積層工程”に関するものであることが分かります。手積み積層成形作業はFRP業界ではハンドレイアップ(または、ハンドレー)ということが一般的です。

技能実習は第1号から第3号まである

前出の参照元情報に記載の通り、技能実習は第1号から第3号まであります。関連・周辺業務、使用材料、使用機器・器具など共通の記述がほとんどですが、必須業務というカテゴリーにおいて各号の作業範囲が区別されています。

第1号では手積み積層として“簡単”であるものに限定されている一方、第2号では主剤と硬化剤の調合(樹脂の調合)や型の整備、ゲルコート作業や脱型作業などが加わっています。

第3号はさらに高精度二次加工が含まれることから、最後の仕上げを行うには第3号が必要だということがわかります。

FRP加工は難しい

第3号の必須作業として規定されていた高精度二次加工について少し掘り下げます。FRP加工といっても多岐にわたりますが、当社でも重要視している作業の一つです。

大型や複雑な形状物が一般的なFRPでは機械加工が困難なケースも多く、成形後の二次加工として、現地で加工と部品や他製品と合わせるといったことも珍しくありません。

当社でも狭い空間に穴を開けてドレイン配管を設置する等、難しい作業が要求されることもあります。過去には自社のFRP加工技術(主に二次加工)や当社で用いる特殊加工刃の形状妥当性を、大学との共同研究も行いながら評価しています。詳細は当社技術レポートをご参照ください。

いずれにしても、強化プラスチック成形職種(手積み積層成形作業)の技術技能第3号として要求される二次加工技術は高度といって問題ないと思います。

強化プラスチック成形職種(手積み積層成形作業)の技能検定に期待すること

ハンドレイアップ工程(手積み積層成形作業工程)は長い時間をかけて構築されてきた技術であることもあって、一つの技能としての立ち位置を確立したといえるかもしれません。

一方で、感覚論で行われてきた部分も強く、技術的に言うと間違いであることをあたかも正しいこととして伝えられている場面に直面することもあります。

当社では仮にこれまで正しいとされたことであっても、それが本当に正しいかは客観的かつ定量的指標に基づいて評価すべきと考え、前出の様な技術評価とそれを踏まえた技術開発を継続しています。

強化プラスチック成形職種(手積み積層成形作業)の技能検定は、ある一定以上の実績のある技術を適切に評価の上で認定するものと理解しており、FRP業界全体として技術の底上げはもちろん、伝承と拡大に好影響を与えると考えています。

技能検定という国家資格を持った技術者の方々が、共にFRPに関する技術の発展に貢献されることを期待したいと思います。

執筆者 佐藤 政志

株式会社FRPカジ代表取締役。30年以上にわたり耐食(耐蝕)成形、一般成形を現場最前線で主導し、繊維強化プラスチック(FRP)の含浸、積層、成形加工に関する知見を蓄積。長年の経験に基づくノウハウを活用し、耐食成形と一般成形を融合させた特殊製造法開発、客観的な指標を取り入れた新しい構造物劣化診断手法の構築と実施、環境問題を意識したFRP廃棄物処理等に取り組む。現場経験に裏付けられた技術ノウハウに関する情報は、HPやメールマガジンで積極的に発信している。

株式会社FRPカジ

FRPを用いた設計、積層、成形、加工を行う。軽量、高強度で耐久性に優れるFRPを用いた新規製品や、設備の長寿命化を目的とした化学工場等の設備補修に関し、工法の提案から工事までを一気通貫で完遂させる対応力に定評がある。R&Dセンターでは技術評価依頼業務や自社技術開発に取り組むことで、継続的な技術向上と非製造業機能を有することによるモノづくりに依存しない事業強靭化を進めている。

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