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第四十三回:FRP製品の真実~塩酸使用工場劣化の解決に向けたFRP特殊塗装工法(R)の活用

株式会社 FRPカジ メールマガジン

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2024年11月1日

 

第四十三回:FRP製品の真実~塩酸使用工場劣化の解決に向けたFRP特殊塗装工法(R)の活用

 

<目次> ━━━━━━━━━━━━━━━━

 

・FRP製品の真実~塩酸使用工場劣化の解決に向けたFRP特殊塗装工法(R)の活用

 

前回メルマガでは塩酸使用工場での劣化メカニズムについてご紹介しました。

 

 

今回は塩酸使用工場劣化の解決に向けた対策の一つとして、

当社独自技術のFRP特殊塗装工法(R)に関し、

7月に公開した技術レポート「JIS K 5600-6-1によるFRP耐食塗料とフッ素塗料の耐薬品性比較評価」技術資料_ENG-REPORT-021の内容も触れながら述べます。

 

※「JIS K 5600-6-1によるFRP耐食塗料とフッ素塗料の耐薬品性比較評価」のリンク

「JIS K 5600-6-1によるFRP耐食塗料とフッ素塗料の耐薬品性比較評価」技術資料_ENG-REPORT-021

<腐食劣化を防ぐキーとなるのは“浸透現象”>

 

塩酸使用工場での劣化メカニズムの対策を考えるにあたり、

最も重要なのは前号で述べている通り

塩酸などの腐食物質の浸透現象です。

 

浸透を防ぐ、もしくは遅らせる対策として考えるべき要素は大きく2点あり、

①          材料の耐薬品性の向上

②          母材までの浸透遅延

です。

 

この2点を併せ持つ材料の一つが、

当社が化学薬品取り扱い工場の腐食対策として実施するFRP特殊塗装工法®に使用しているFRP耐食塗料です。

それぞれについて下記で解説します。

 

 

〈FRP耐食塗装の耐腐食性の高さについて〉

 

FRP耐食塗料は、耐腐食性の高いビニルエステルをマトリックスとし、

ガラス繊維で強化された形態となります。

 

ビニルエステルはビスフェノールA型の骨格を分子内に有し、

芳香環を複数有するなど大変剛直な分子構造であることから、

耐薬品性にも優れます。

 

 

<ガラス繊維による複合材料化で層間方向の浸透を阻害>

 

前述の通り耐食塗料はビニルエステルとガラス繊維を組み合わせた複合材料です。

 

この材料形態により、塗装内部では様々な配向をしたガラス繊維が多く存在しており、

しかもガラス繊維と樹脂は一体化しているわけではなく共存した状態です。

 

この複合材料形態により表層から浸透した塩酸をはじめとした腐食物質が厚み方向に浸透する際、

浸透方向に存在するガラス繊維を避け、また繊維と樹脂の界面に浸透することにより、当該腐食物質の厚み方向への浸透速度が低下したと推測します。

 

上述のメカニズムは推測の域を出ない部分もありますが、

耐食塗料の耐腐食性に関する優位性は、

冒頭の技術レポートでも述べている通り、

実験でも確かめられている“事実”です。

 

 

< FRP特殊塗装工法(R)による塗装法の最適化により塗装の耐腐食性をさらに改善>

 

FRP特殊塗装工法(R)の特徴についても触れたいと思います。

 

FRP耐食塗装で採用したFRP特殊塗装工法® では、

FRP耐食塗装で生じる可能性のある、

塗膜の欠陥や欠損箇所を保護する役割を担うことを狙い、

上塗り工程を行います。

 

この上塗りは、工場などの現地での塗装工程で不可避な塗膜のばらつきを低減させる効果があり、

結果として塗膜の耐腐食品質をさらに高めることが可能です。

 

当社の行った実験の結果、

FRP特殊塗装工法(R)による耐食塗装はフッ素塗装よりも高い耐酸性を示した結果が得られています。

 

詳細については「JIS K 5600-6-1によるFRP耐食塗料とフッ素塗料の耐薬品性比較評価」の内容をご覧ください。

 

またもう一つ留意すべき観点として、

塗膜厚みがフッ素塗装のそれより厚めであったことが挙げられます。

 

塗膜厚みは耐腐食性に影響を与えることを考慮すると、

このことが耐食塗装の耐腐食性向上に有利に働いた可能性もあることを加筆しておきます。

 

 

〈今後の課題〉

 

FRP特殊塗装工法(R)による耐食塗装を塩酸使用工場に加え、

酸性/塩基性の薬液、または海水などの電解質水溶液による金属腐食が懸念される領域への劣化対策等、

さらに拡大展開していくにあたってはいくつかの課題もあります。

 

代表的な課題は以下のような外的要因による、

“母材に対する塗膜接着性と塗膜自体の耐久性への影響”

です。

 

 

‐内容液と外的環境などの温度差

 

‐大容量の薬液タンクに用いた場合など、定常的な荷重

 

– 薬液の種類や濃度の違い

 

– 振動などによる繰り返し荷重

 

– 定常的に暴露される太陽光、温湿度

 

 

今後はこのような課題に向けて向き合い、

必要に応じた追加評価を行うことで一つひとつ明らかにしていこうと考えています。

 

 

< FRP特殊塗装工法(R)による耐食塗装の可能性>

 

実データに基づく評価は継続中ではありますが、

ご紹介した通り当社ではデータを一つひとつ丁寧に取得し、

その結果を技術レポートという形で公開しております。

 

これまでの実績と得られたデータを踏まえ、

FRP特殊塗装工法(R)による耐食塗装は、

塩酸使用工場劣化もちろん、それ以外の薬液を取り扱う化学工場に対する、

耐腐食性対策に応用できると考えております。

 

 

工場設備の腐食劣化にお悩みの方がいらっしゃいましたら、

お気軽にお問い合わせください。

 

 

 

今号では塩酸使用工場劣化の解決に向けたFRP特殊塗装工法®の活用という観点について、

技術的な特徴や課題についてご紹介しました。

 

さらに詳細をご覧なりたい方は、当社HPの原文をご一読いただけると幸いです。

 

 

次号では当社が構築した、FRP100%リサイクルに関してご紹介します。

 

 

 

FRPを取り扱っている方や今後取り扱いたい方にとっての一助となれば幸いです。