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第十五回:FRP製品の真実~不飽和ポリエステルの硬化不良発生時の初期対応

株式会社 FRPカジ メールマガジン

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┏┏┏┏ ハンドレイアップGFRPの真実

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2022年7月1日

 

第十五回:FRP製品の真実~不飽和ポリエステルの硬化不良発生時の初期対応

 

 

<目次> ━━━━━━━━━━━━━━━━

 

・FRP製品の真実~ 不飽和ポリエステルの硬化不良発生時の初期対応

 

 

 

<FRP製品の真実~不飽和ポリエステルの硬化不良発生時の初期対応>

 

 

 

今回のメルマガでは不飽和ポリエステルの硬化不良発生時の初期対応についてご紹介します。

 

 

前回メルマガでは硬化不良として硬化遅延現象が多発するようになってきた事に触れました。

当該現象が原因となり、タンクでの部品オーバーレイ部はガラス繊維の中のマトリックス樹脂が垂れて流れ出て白化する、

内面トップコート部が流れて硬化しない、

といった現象が見られます。

 

では、このような事象が発生した場合、

どのように対応すべきなのでしょうか。

 

 

【硬化不良が起こった際の初期対応】

 

発生した硬化不良に対する初期の対応としては以下のようなことを行いました。

 

‐樹脂単体での使用では加熱を行う

 

今回用いている硬化剤のパーメックNは常温系硬化剤であり、

通常は加熱等の加熱は必要ありません。

しかし、硬化不良による樹脂の流動等の不具合が起こりやすい、

プライマーやトップコートのようにマトリックス樹脂を塗るだけの場合、

加熱したい部分以外に熱が伝わりにくいよう養生した上で、

ヒートガン等を用いて熱を加えました。

 

‐硬化剤を多めに添加したマトリックス樹脂で樹脂の漏出を抑制

 

ガラス繊維に含侵させた後、

硬化不良を起こしたマトリックス樹脂が垂れてしまった場合、

硬化剤を多めに添加した上で促進剤を加えて硬化を進行させたマトリックス樹脂を、

脱泡ローラーで強制的にガラス繊維に塗り込みます。

これにより、硬化不良を起こした樹脂の硬化が進行することで、

樹脂の垂れを抑制することができました。

 

 

‐硬化不良部分のGFRPを除去

 

ガラス繊維に含侵後、

硬化不良による粘度上昇不足で垂れてしまったものについては、

剥がすことができるものは手で取り除き、

手作業では困難なものについては、

サンダー等の電動工具で削り落とすことで除去しました。

 

硬化不良を起こした箇所はマトリックス樹脂が完全に硬化していません。

 

そのためこのような箇所をサンダーで除去しようとすると、

ガラス繊維が粉状態ではなく飛び散る様になることから、

飛び散らない様、少しずつ丁寧にサンディングを行うことが肝要です。

 

 

ただ、上記のいずれの対応も応急処置に近い対応であったため、原因究明と対策立案が必要な状況に変わりはありませんでした。

 

 

今回のメルマガではFRP製品の真実~不飽和ポリエステルの硬化不良発生時の初期対応に

ついてご紹介しました。

 

 

次号メルマガでは、FRP製品製造の真実~不飽和ポリエステルの硬化不良発生の仮説立案と考察による硬化不良の原因の推測について取り上げたいと思います。

 

 

 

FRPを取り扱っている方や今後取り扱いたい方にとっての一助となれば幸いです。