株式会社 FRPカジ メールマガジン
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2022年5月9日
第十三回: FRP製品の真実~苛性ソーダ貯槽の危機 その2
<目次> ━━━━━━━━━━━━━━━━
・FRP製品の真実~ FRP製苛性ソーダ貯槽補修法
<FRP製品の真実~苛性ソーダ貯槽劣化補修法 > ━━━━━━━━━
前回のメルマガではFRP製苛性ソーダ貯槽劣化進行の盲点についてご紹介しました。
今回のメルマガではと FRP製苛性ソーダ貯槽補修方法をご紹介します。
まず初めに基礎的な材料選定として苛性ソーダは強アルカリ性であるためFRP製苛性ソーダ貯槽の場合、槽内は有機繊維をFRPの強化繊維に使用します。
理由は、内容液が苛性ソーダなどの強アルカリ性の場合、
ガラス繊維は侵されてしまうため、
苛性ソーダと直接触れさせないために有機繊維を接液面に適用する必要があることによります。
【小口径のFRP製フランジが取り付けられたFRP製苛性ソーダ貯槽の補修】
前回メルマガでも指摘しましたが、
15A~25Aの小口径FRP製フランジシェル部突出部、並びに当該内壁部から苛性ソーダが浸透して、
外から見るとフランジより少し離れたFRPオーバーレイを施した端部から腐食が進行し、
その結果として薬液が漏洩する事が多く確認されます。
FRPオーバーレイ端部から漏洩
これはFRP本体成形体の苛性ソーダ槽からではなく、フランジ等を取り付ける場合の2次加工・2次成形を施した当該槽とフランジの隙間や、
有機繊維のFRPで被覆されていないガラス繊維強化FRP製フランジ本体から、
苛性ソーダが浸透することによって生じた腐食です。
(※経年により本体槽内から腐食して、当該槽を形成する壁面の層から苛性ソーダが浸透する場合もあります。)
15年経過で槽内有機繊維が露出(漏洩は無し)
参考:塩酸槽内腐食により割れ(上)膨れ(下)
FRP製フランジシェルはガラス繊維を強化繊維としたFRPで構成されているため、
直接苛性ソーダに接液するとこのガラス繊維の腐食が進行することが上述の主因です。
よって、口径変更を視野に入れてフランジ入れ替え後、
フランジシェル内壁をオーバーレイします。
この場合、既設のフランジシェル部突出部を撤去し、
切断した端面、並びにフランジシェル内壁に巻き込むように、
耐アルカリ性の高い有機繊維を強化繊維としたFRPでオーバーレイをし、
苛性ソーダで腐食するフランジを構成するガラス繊維の露出リスクを最小化します。
このように、苛性ソーダ貯槽漏洩が確認されて内面を確認した際、
小口径フランジシェル部による突起部分がある場合は上記補修を行う必要があります。
稀にですが新規製作時に槽内壁面に沿ってフランジシェルが切断され、
フランジシェル端面である切断面が、槽内壁面と同一面となっているケースもあります。
槽内壁面と同一面にFRPオーバーレイ
この場合、フランジシェル切断面と槽内壁面を巻き込まずにFRPオーバーレイを施しているため、
フランジシェル内壁面に加え、
フランジシェル切断面でFRP強化繊維のガラス繊維が苛性ソーダ接液面に露出した状態にあります。
よって、この場合においても上述と同様の有機繊維FRPを用いた補修が必要となります。
フランジシェル内にガラス繊維と共に有機繊維も巻き込む
【補修に際しての注意点】
上述した通りFRP製苛性ソーダ貯槽のフランジ部分の補修では、
フランジシェル部突出部を撤去してフランジシェル内壁を有機繊維のFRPでオーバーレイすることが重要です。
しかしながら径の小さいもの、
例えば口径15Aであれば内径は15mmですが、
フランジシェル内壁にボイドを発生せずにオーバーレイすることは困難です。
通常のオーバーレイの工法だと、
ボイド等の空気を残留させず、かつバリを出さずに上記のような狭いフランジシェル内にオーバーレイすることは難しいです。
そのため、刷毛や指を使って丁寧に脱泡する等の手順で行いますが、
積層するFRPの強化繊維に連続繊維が基本の有機繊維を最上層に適用するため、
強化繊維のドレープ性がガラス短繊維を主とした短繊維のガラスマット材と比較して低い故、
伸縮しにくいことから作業は困難を極めます。
そこで1度ガラス繊維のみでオーバーレイを行った後、
その上から最外層として有機繊維を適度な形状に切り「切絵」のようにガラス繊維上に貼っていくイメージが最良かと考えます。
詳しくは当社ホームページやFRPカジYouTubeチャンネルでもご紹介しているのでご覧ください。
「薬液漏えい恒久対策施工支援」ホームページはこちら。
YouTubeチャンネルはこちら。
今回のメルマガではFRP製品の真実~苛性ソーダ貯槽劣化補修法という題目で、
FRP製苛性ソーダ貯槽劣化補修法についてご紹介しました。
次号メルマガでは、FRP製品製造の真実~不飽和ポリエステル向け硬化剤の硬化不良発生とその対応ということについてについて取り上げたいと思います。
FRPを取り扱っている方や今後取り扱いたい方にとっての一助となれば幸いです。