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第十七回:付帯設備塗装劣化の特徴

株式会社 FRPカジ メールマガジン

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┏┏┏┏ メッキ/表面処理設備長寿命化のための

┏┏┏┏  補修/改修へのFRP活用の基礎知識

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2020年10月1日

 

第十七回:付帯設備塗装劣化の特徴

 

 

 

<目次> ━━━━━━━━━━━━━━━━

 

・「補修/改修へのFRP活用の基礎知識」

 

 

 

<補修/改修へのFRP活用の基礎知識> ━━━━━━━━━

 

前回のメルマガでは槽ピットにおけるFRPを用いた改修/補修による効果についてご紹介しました。

 

 

今回は付帯設備塗装劣化の特徴と、当該劣化によって生じる問題についてご紹介します。

 

 

本テーマを述べる前に、まずは第四回メルマガの復習として付帯設備塗装の役割について述べてみたいと思います。

 

これまでFRP槽、槽設置ピットについて述べてきました。

 

これらは、あくまでもメッキ/表面処理を行うラインでの範囲でしかなく工場として

「ソフト/ハード」で大きく分けるとソフトに該当します。

それに対し、今回ご紹介する付帯設備はハードになります。

工場においてハードと定義される付帯設備は工場建屋全体のことで、

柱・梁・天井・ホイストクレーン・クレーンレール等に加え、

制御盤や扉までがあてはまります。

 

溶融メッキ工場と電気メッキ/表面処理工場での違いや薬品の違い、

工場の大きさで付帯設備の劣化や腐食状態は大きく異なります。

 

溶融メッキ工場、電気メッキ/表面処理工場についてそれぞれ見ていきます。

 

 

【溶融メッキ工場での付帯設備劣化概要】

 

やはり溶融メッキ工場では大きい製品を扱うので工場は付帯設備の劣化の進行が早く、

よく言われる工場保全のために5年に1回のペースで塗装工事を行っても間に合わない速さで劣化が進行します。

 

大きい製品を扱うには大きな製品を処理するための槽が必要であるというのが、

上記の背景(大型製品を扱う工場の付帯設備の劣化が早いという事象)にあります。

 

ここでいう大きな槽というのは開口部で15㎡以上のようなイメージとなります。

このような槽における内容液の硝酸や塩酸に対し、

スクラバーや換気扇により腐食性ガスを取り除く機構が付いていますが、

完全には除去できず、腐食性ガスが滞留することになります。

結果として、工場内に腐食性ガスが残留し、付帯設備の劣化進行につながります。

 

 

特に劣化が激しい箇所では、硝酸や水洗い槽に表面処理を施した高温の金属製品が入れられた時に生成される

 

「塩を含む高温蒸気」

 

が付帯設備を劣化させる要因となります。

 

この時の塩分濃度は海水の2倍~3倍にも達してしまう上に高温であるため、

フッ素系・エポキシ系塗装を施しても劣化は防げません。

 

各工場では硝酸や塩酸用にスクラバーを設置して劣化進行の抑制を図っていますが、

上述の通り全てを処理するのは難しい上、

吸い込み口に到達する経路にある付帯設備は上述の高温蒸気にさらされるため、

これらの領域にある付帯設備の劣化は避けられません。

 

 

【電気メッキ/表面処理工場での付帯設備劣化概要】

 

電気メッキ/表面処理工場では溶融メッキ工場ほどではありませんが、

やはりラインの設備や柱・梁・天井・ホイストクレーン・クレーンレール等が薬品により劣化が進行し、

定期的な塗装を施さないと構造部材の破損や駆動部の固着といった問題が生じます。

 

しかし、溶融メッキ工場と比較すると急激な劣化がみらないことから、

20年ほど経過しても外観は錆が多く浮いてる程度にしか見えず放置する工場も少なくありません。

 

 

以上の通り、どのような工程が行われるかによって、付帯設備の劣化進行には差異があることを理解していくことは重要です。

 

 

 

次に付帯設備の劣化の具体的な特徴を述べたいと思います。

代表的なものとして、以下のようなものがあります。

 

【付帯設備の劣化の特徴】

 

‐塗装剥離

 

‐塗装錆

 

‐ホイスト駆動障害

 

‐ホイストレール腐食により強度低下

 

 

では、実際に付帯設備が劣化することによりどのような問題が生じるのでしょうか。

代表的な問題例を紹介します。

 

【付帯設備の劣化によって生じる問題】

 

‐劣化により錆や塗装片が薬品槽に落下する。

天井が高い工場の場合、普段のメンテナンスが細部まで行き届かないことにより、

鉄骨が腐食により錆の発生を繰り返すことでミルフィーユ状となり、

錆や塗装が薬品槽に落下する。

 

– 劣化のさらなる進行により、付帯設備の落下や建屋倒壊が生じる。

外観上の錆だけで腐蝕判断を行うことによってミルフィーユ状の劣化を見逃し、

メンテナンス遅れるケースがある。

この場合、ホイストやホイストレールをはじめとした付帯設備の腐食がさらに進行し、落下等の危険性が高まる。

特に塩分蒸気が発生する付近では劣化が急激に進行するので、当該リスクが高まる。

このような腐蝕判断の遅れにより、劣化が建屋の鉄骨の深部まで進行すると、

最悪の場合、建屋自体の倒壊という事態につながる。

 

 

次回以降のメルマガでは、上述したメンテナンスを怠り劣化が進行した場合の対処法を順次ご紹介いたします。

 

次号メルマガでは、塗装劣化した付帯設備の改修/補修を目的とした塗装適用法1として

改修/補修の方向性について取り上げたいと思います。

 

 

今回のメルマガでは付帯設備塗装劣化の特徴と、当該劣化によって生じる問題についてご紹介しました。

 

 

 

当社では「改修/補修工事の前段階での劣化診断」に関する高まるニーズにお応えすべく、

当社R&Dセンターの技術相談事業にて対応させていただいております。

 

 

 

 

設備の老朽化や更新にお悩みの方にとっての一助になれば幸いです。