株式会社 FRPカジ メールマガジン
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2026年10月1日
第六十六回:FRP製品の真実〜FRP職人にしか分からない感覚的なことへの
検証2
<目次> ━━━━━━━━━━━━━━━━
・FRP製品の真実〜FRP職人だけが知る感覚:マトリックス樹脂への促進剤や硬化剤の配合
前号のメルマガでは、FRP職人の感覚的な部分に依存するものとして、離型処理と強化繊維の裁断・配置についてご紹介しました。
今号では前号に引き続きFRP職人だけが知る感覚の中で、
マトリックス樹脂への促進剤や硬化剤の配合に関して述べたいと思います。
【FRP職人にしか分からない感覚】
GFRPの世界で特にハンドレイアップ法に携わっているFRP職人の方にしか分からないであろう感覚に関するものとして、
前回のメルマガで以下のものを挙げました。
なお、対象はあくまでも一般成形品(ゲルコート製品)です。
‐生産型への離型処理
‐強化繊維として使用するガラスマット類の裁断
‐積層時の強化繊維配置
‐マトリックス樹脂への促進剤や硬化剤の配合
‐成形を行う人数
‐成形を行う道具
‐脱型のタイミング
‐脱型後の加工
これらのうち、今回はマトリックス樹脂への促進剤や硬化剤の配合について述べます。
〈マトリックス樹脂の主剤/添加剤とその配合比率〉
マトリックス樹脂の主剤である不飽和ポリエステルへの添加物としては、
促進剤のコバルト錯体やアニリン誘導体、硬化剤の過酸化物、ラジカルトラップの特性を有するキノン類などが含まれると考えられる遅延剤、パラフィン(空気乾燥剤)が挙げられます。
そして、主剤に対するこれらの配合比率は気温による変化でのゲルタイム等が記されたメーカーの資料を参考にするのが一般的です。
〈成形方法に応じて配合比率を変えている可能性〉
ハンドレイアップ成形と言っても、以下の通り様々であり、それぞれに全く違うやり方があります。
– 一般成形向けの生産型成形や、部品等取付後の二次成形
– 耐食機器成形向けの上記同様の生産型成形や二次成形
– 現場でのライニングや補修等
ここでポイントとなるのは、成形方法が異なれば上述した配合を基本にしながらも、各社、各個人で
“変えている”
可能性です。
このように考える理由の一つは、マトリックス樹脂の硬化反応は現場環境などの影響を受けることにあります。
〈配合変更の例〉
“変えている”ところについて具体例を示したいと思います。
少量の主剤に規定量通りの添加剤を入れてマトリックス樹脂の硬化状態を確認します。
例えば環境温度が低い、水分が多い、酸や塩基が残留しているといった状況によって、
硬化反応速度が低下するとします。
このような場合、その環境に応じて感覚的に硬化が遅いから硬化剤を増やそうということを行います。
逆に気温が高いためにマトリックス樹脂の硬化が想定より早いとなれば、
硬化剤を減らそう、遅延剤を増やそうといった対応を行うこともあります。
さらにはマトリックス樹脂のダレ止めのために最外層である最後の1plyは硬化を早めようなど、
状況に応じて瞬時に配合変更を決定するのも感覚です。
〈定量的な管理は重要だが時に感覚的な判断も必要〉
以前メルマガ第53回から第59回(全7回)にわたり、硬化不良に焦点をあてて配信しましたが、
ここでは今回とは逆に感覚論はダメで規定添加量を守るといった定量的な管理が大事だと説明しました。
大前提は定量的管理であることに違いありませんが、例えば
「マトリックス樹脂に泡が浮いてるが、いつも見る泡と違う」
「硬化剤を添加して撹拌したが色が違う」
「硬化剤を添加したのに硬化剤の匂いがしない」
「規定通り撹拌したがなんとなく色味が違う」
「硬化剤を添加したのにまったく色の変化がない」
といったものは経験に裏付けられた“感覚論”でしか気が付けない“異常”です。
これらすべてをマニュアルなどで可視化するのは困難といえます。
上記は一部ですが、
いつもと違う泡があれば“水“、色なら”促進剤不足等“、匂いなら”硬化剤の変化“など
感覚的にその場で判断できないと、特に現場工事ではのちのち大事に発展する可能性があります。
これらの状況を確認した場合はFRP職人が現場を見ながら自らの経験に基づいた感覚に沿って、
その場で最善と考えられる対応を臨機応変に進めていく必要があります。
今号では、FRP職人の感覚的な部分に依存するものとして、マトリックス樹脂への促進剤や硬化剤の配合についてご紹介しました。
次号メルマガではFRP職人だけが知る感覚として、成形を行う人数や道具に関してご紹介したいと思います。
