株式会社FRPカジ メールマガジン / 第62回
FRP製品の真実〜FRP製耐食機器劣化損傷判定への新たな取組〜
なぜ部位によって、見るべき点が変わるのか
同じ設備の中であっても、タンク本体、液面部、気相部、配管、継手などでは、薬液との触れ方、受ける負荷、劣化の進み方が同じではありません。だからこそ、劣化診断では部位ごとに見るべき点が変わります。
タンク本体では接液部と非接液部で見るべきポイントが異なる
タンク本体の接液部では、内容液そのものの影響を強く受けます。一方、液界面部では液相と気相の両方の影響を受けやすく、気相部では揮発成分や結露などが関与する場合があります。
そのため、同じタンク内であっても、接液部だけを前提にした見方では十分でない場合があります。
特に塩酸をはじめとした揮発性の酸系薬液では、非接液面に揮発した酸によるタンク内壁面の腐食が進行します。接液部よりも、非接液面の方が浸透が早まる傾向があり、天井部の崩落事故につながることもあります。
接液面だけを見ていると、より重大な腐食リスクを見落とす可能性があります。
タンクの付帯設備にも目を配る必要がある
タンクばかりに目が行きがちですが、付帯設備であるFRP配管ライン、すなわち配管こそ目視検査を重点的に実施しなければなりません。
使用する薬液の種類、温度、濃度や設置環境により、検査方法の変更や追加が必要になる場合があり、特に配管は盲点になりやすい重要部位です。
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配管や継手が盲点になりやすい理由
たとえば150A以下のサイズでFRP配管を製作する場合、直管とエルボを繋ぐには輪切り同士をドン付けして外面だけをオーバーレイするのが一般的です。これは、内面のつなぎ目に隙間があり、“割れている”のと同じ状況です。
塩酸であれば薬液そのものに加え、揮発したガスにより、つなぎ目の隙間から配管断面に浸透して、強化繊維であるガラス繊維を腐食します。苛性ソーダなどの塩基性水溶液でも、同様に薬液が隙間から浸透してガラス繊維を溶解します。
配管や継手では、表面に見えている異常そのものよりも、つなぎ目や断面からどのように薬液が入り込んでいるかを考えることが重要です。
タンクの配管取り付け部でも同じことが起こり得る
外部から配管を取り付ける際のタンク内面でも、同様の現象が生じる可能性があります。液面計取付座に使用する20Aや25Aの内面シェル部をタンク内壁よりも突き出したままにすると、断面から薬液が浸透してガラス繊維を腐食し、それが長手方向に進行します。
浸透を続けた薬液は、最終的には外面の離れた箇所から漏洩します。一見すると漏れている場所だけをオーバーレイすればよいように見えますが、根本的な原因は別の場所にあるのです。
実際に漏れている場所だけを見ていては、根本原因を見誤る可能性があります。
外観異常が見えた時点で、腐食による劣化はどこまで進んでいるか
苛性ソーダや塩酸によって劣化した配管は、白化現象を外観で確認できます。この時点で、薬液浸透はある程度進んでおり、それが外観異常として認められたと考えます。
外観異常を確認した際には、そこを単なる「異常箇所」として捉えるだけでなく、すでに内部腐食による劣化が相当進んでいることに加え、離れたところに根本的な劣化原因が存在する可能性を読み取る視点が重要です。
当社が重視している見方
当社では、部位ごとの差を踏まえ、表面だけを見て判断するのではなく、原因の起点と進行範囲を整理することが必要だと考えています。
- どの部位に異常が出ているのか
- どの部位が起点になっている可能性があるのか
- その部位特有の条件は何か
- 表面変化なのか、内部進行を伴うのか
劣化診断は、単に「どこが悪いか」を見るだけではなく、こうした論点整理を行ったうえで、「どこからどこまで進んでいるのか」を確認し、劣化現象の根本的な原因箇所を推測することが最重要です。
まとめ
今号では、タンク本体だけでなく、液面部、気相部、配管、継手など、部位によってなぜ見るべき点が変わるのかをご紹介しました。
次号メルマガでは、薬液条件や部位差を踏まえたうえで、当社がなぜ複数の診断法を組み合わせて劣化状態を読み解いているのかについてご紹介したいと思います。
FRPを取り扱っている方や、今後取り扱いたい方にとっての一助となれば幸いです。
