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第五十八回:現地施工で見られるビス系ビニルエステルの硬化不良発生~ 樹脂塗布用の刷毛・ローラー類・作業手袋に残留した水やアセトン~

株式会社 FRPカジ メールマガジン

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┏┏┏┏ ハンドレイアップGFRPの真実

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2026年2月2日

 

第五十八回:現地施工で見られるビス系ビニルエステルの硬化不良発生

~ 樹脂塗布用の刷毛・ローラー類・作業手袋に残留した水やアセトン~

 

<目次> ━━━━━━━━━━━━━━━━

 

・FRP製品の真実~現地施工で見られるビス系ビニルエステルの硬化不良発生~樹脂塗布用の刷毛・ローラー類・作業手袋に残留した水やアセトン

 

 

前回のメルマガではビスフェノール系(ビス系)ビニルエステルの硬化不良の初歩的要因として、積層下地やライニング下地の水滴等により起こり得る硬化不良や対策についてご紹介しました。

 

 

今回は現地施工時におけるビスフェノール系ビニルエステル樹脂硬化不良の初歩的要因として最後となる、樹脂塗布用の刷毛・ローラー類・作業手袋に残留した水やアセトンが除去されていない場合について述べてみたいと思います。

なお、6項目に“作業手袋”を加筆しています。

 

 

【現地施工におけるビスフェノール系ビニルエステル樹脂硬化不良の初歩的要因】

 

現地施工において、ビスフェノール系ビニルエステル樹脂硬化不良の初歩的要因として、

以下の6点が挙げられることは既に述べました。

 

‐硬化剤添加量過不足

‐促進剤添加量過不足と手順違い(3液性の場合)

‐硬化剤添加後の撹拌不足

‐強化材(チョップドストランドマット等)が水等を吸収している

‐積層下地やライニング下地の水滴等

‐樹脂塗布用の刷毛・ローラー類・作業手袋に残留した水やアセトンが除去されていない

 

※参照コラム

第五十三回:ビス系ビニルエステルの硬化不良発生

https://x.gd/CQUKH

 

今回は6点目の“樹脂塗布用の刷毛・ローラー類・作業手袋に残留した水やアセトンが除去されていない”について解説します。

 

 

【現場作業での業者ごとの現状と相違点について】

 

現場作業において道具・工具・保護具などの類は各企業や個人により、

作業の多元性とでも言うべきか一言で言えば様々です。

特に最近感じることは、技術的親和性がある塗装業者、防水業者の参入と感じます。

 

<有機溶剤の使い方の違い>

例えば塗装業者は普段の作業において、アセトンを使用することはなく、

塗料にトルエンやキシレンを主成分とする混合有機溶剤のシンナー(アセトンを含むものもあり)等を混練して希釈します。

 

一方、FRPの作業ではシンナーをマトリックス樹脂に使用することはなく、

使用したローラー等をマトリックス樹脂の溶解性が高いアセトン洗浄することが、

定常的に有機溶剤を使う作業となります。

 

塗装業者のように硬化反応を伴わない材料を扱う場合、

塗料の入った容器にローラーを入れたままでも大きな問題はありません。

そのため、ローラーを洗浄することは通常行いません。

 

FRPでは塗料を塗布するようなローラーではなく脱泡ローラーという、

ガラス繊維に硬化剤混練後のマトリックス樹脂を含浸する際、

残っているボイドを無くすことを目的に用いる道具があります。

 

これは一般的に塗料向けのローラーと比べて高価であることが多い上、

脱泡ローラー使用時に付着するマトリックス樹脂は硬化剤混練後に硬化反応が進んで硬くなるため、

使用後のアセトン洗浄は不可欠です。

 

放置するとマトリックス樹脂が硬化して、ローラーが使えなくなってしまうからです。

 

アセトン洗浄後は作業再開時にローラーに残留したアセトンをウエス等で拭ったり、ローラー部を勢いよく回してアセトン飛ばすといった追加作業が必要です。

 

<保護具の違い>

保護具である作業手袋に関しても各社各様です。

 

定常的に工場でFRP成型を行う企業はゴム手袋を使用することが多いですが、

現場でライニング等の作業を行う企業の場合、薄手PP使い捨て手袋に軍手等を重ねることが多いです。

後者の場合、作業の区切りが良いところで薄手PPも軍手も交換します。

 

このように作業に関する道具や工具、そして保護具が多様化したのは、

現地でのFRP補修業者が減少したことに原因があることは間違いありません。

 

そのため作業に使用する道具や工具、そして保護具が多様化しているのも至極当然と考え、

現状を否定しているわけではないことはお断わりしておきます。

 

 

【樹脂塗布用の刷毛・ローラー類・作業手袋に水やアセトンが残留する原因】

 

樹脂塗布用の刷毛・ローラー類・作業手袋に水やアセトンが残留する主な原因を以下の通り述べます。

 

‐雨やその他の要因でローラーに水滴が残る場合

 

‐アセトンで洗浄後、完全に溶剤が拭き取れていない場合

 

‐ライニング等を行う者が作業途中で、アセトンで手袋を洗浄した場合

 

‐ライニング等を行う者が作業途中で水や薬品等に触れてしまった場合

 

‐夏場での作業や高温環境下での作業中、汗が手袋に浸透、さらにはそこから刷毛やローラー等に滴下や浸透した場合

 

 

【樹脂塗布用の刷毛・ローラー類・作業手袋に残留した水やアセトンが除去されていない場合の付着リスクとその確認方法、並びに当社の対策】

 

今回の水やアセトンの残留確認は、これまで紹介してきた中で1番難しいかと思います。

 

理由はローラー、刷毛、軍手などはウール材や化学繊維で作られているために水やアセトンが付着していても顕著な外観変化はないため、

目視で変化をとらえるのは難しいからです。

 

水やアセトンの残留リスク低減に向けた対策の基本は、徹底した洗浄とその後の残留溶剤の除去に加え、

水分を吸収する素材を用いたものを極力使わないことにあります。

 

<ローラーや刷毛の場合>

新品は別として1度でも使用したものはアセトンで必ず洗浄します。

 

アセトン洗浄後はそれ自体を残留させないことが肝要です。

前述の通り、残留させないためには拭う、

またはローラーの場合はローラー部を勢いよく回して揮発を促します。

 

 

<保護具(手袋)の場合>

手袋に関して作業者が気にしていることはかなり少ないようですが、

最も重要なのは軍手などの水分を吸収する素材でできているものを用いないことです。

これが対策のすべてといっていいでしょう。

 

ただし、水分を吸収しない当社も用いるゴム手袋でも対策は必要です。

 

夏場や高温多湿工場内での作業中、例えば床に段ボールなどを敷き、

その上でガラス繊維に樹脂を含浸させる際、

または樹脂含浸済みの材料を、立った状態でレイアップをしている作業者に手渡す際に、

袖口部より汗が滴り落ちることはよくあるため、注意が必要です。

 

 

このようにゴム手袋を保護具として用いている場合も袖口から汗が落ちるといったリスクはゼロにはできませんが、

材料に触れる手のひらや指先における水分の残留リスクは、

軍手を使う場合と比べて有機溶剤による洗浄によって低減できると考え、

ゴム手袋の使用を水分混入に対する対策として当社は当該保護具を採用しています。

 

 

全6回にわたり現地施工で見られるビス系ビニルエステルの硬化不良発生について、色々な角度からをご紹介しました。

 

文面を見れば当たり前のことや簡単に感じることもあったかもしれませんが、

いざ現場施工でその当たり前や簡単なことが徹底できるかは別問題です。

 

ご紹介してきた情報が、FRPの硬化不良のリスク低減への取り組みの一助になれば幸いです。

 

 

次号では全6回にわたり現地施工で見られるビス系ビニルエステルの硬化不良発生についてを総括してご紹介します。

 

 

FRPを取り扱っている方や今後取り扱いたい方にとっての一助となれば幸いです。