株式会社 FRPカジ メールマガジン
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┏┏┏┏ ハンドレイアップGFRPの真実
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2021年6月1日
第二回: FRPの廃棄物問題への取組
<目次> ━━━━━━━━━━━━━━━━
・「FRPの廃棄物問題への取組」
<FRPの廃棄物問題への取組> ━━━━━━━━━
前回のメルマガではFRPの耐久性と廃棄物問題の現状についてご紹介しました。
今回のメールマガジンでは、FRPの廃棄物問題への取組ということについて述べてみたいと思います。
【リサイクル現況】
現在リサイクルとして認知されているのは、「セメント原燃化」です。
セメント原燃化とは細かく破砕した廃FRPをセメントの製造工程で燃料・原料として使用する方法です。
このように現在ではFRPをダウングレードさせる方法しか見当たらず、処理量も限定的です。
【当社のFRP廃棄物処理への取組】
‐FRP薬液タンク
化学プラントの薬液タンクに用いられているケースが多いFRPですが、薬品に対する耐性が高く、適切な補修/改修は長寿命化が可能ですが、最終的には廃棄する必要があります。
FRP は主に強度や剛性を担う強化繊維と、高い耐水性や耐薬品性を有する有機物質の樹脂(高分子)を組み合わせた「複合材料」であるため、廃棄に伴う材料取り扱いに専門知識が必要です。
さらにFRP薬液タンクはFRP 単体ではなく金属との複合体として用いられ、廃棄処理する際にはFRPという材料に対する知見はもちろん、FRP 成形体や FRP 複合成形体の構造を理解した上で、徹底的な分別を行うことが必須といえます。
当社ではFRP薬液タンクの製品設計、製造、そして補修、改修といった30年以上の経験を踏まえ、FRP薬液タンクの廃棄前処理、並びにFRPとそれ以外の材料の徹底した分別を
行います。
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‐FRP高圧タンク(FRP複合容器)
医療用・消防用FRP複合容器を中心に、高圧ガス容器処理について多くの問い合わせをいただいております。
一般高圧ガス保安規則には、「容器の刻印等により示された年月から15年を経過したものは使用できない」と明記されており、高圧気体を保管するという使用方法故、安全の観点からも更新が必須といえます。
高圧気体向け容器の中には、金属ライナーとFRPを組み合わせた複合体(以下、FRP複合容器)があります。これらFRP複合容器の廃棄処理には金属に加え、FRPという材料に関する知見、並びにその複合体の廃棄処理方法について専門的な知見が必要です。
加えて近年は中国や東南アジア諸国といった海外での廃棄物受け取り拒否が急増しており、廃棄処理待ちのFRP複合容器がその行き先を失っている状況にあります。
従来のようにFRP複合容器の処理を一般的な廃棄物処理業者に任せ、廃棄したというマニフェストを取得するという流れは過去のものとなりつつあります。
海外に持っていくことで廃棄処理を終わらせるのではなく、FRP複合容器の廃棄処理に関する専門知見を活用しながら、適切に処理する取り組みが必須の時代です。
上述の背景も踏まえ、当社ではFRP廃棄物処理事業において、FRP複合容器の廃棄処理にも対応する体制を構築いたしました。当該処理方法では、容器内面の金属ライナーと補強材であるFRPを特殊設備により分離します。分離した金属は再利用し、FRPも再利用の体制を着実に進めております。当該処理は提携する産業廃棄物中間処理業者にて適法処理し、マニフェストも発行します。
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当社は、「FRP製品を笑顔と共に」というスローガンのもと、高い専門性に基づいた
高機能、高品質のFRP製品をお客様に提供してまいりました。
FRPは軽量化や耐腐食性を実現するための高機能材料として今後ますます需要が高
まると予想されていますが、限りある資源、そして次世代のためこの地球を守るた
めに当社ができることを考えるべく、「The First Step Project」として社内にて新規
事業構想の検討を重ねてまいりました。その結果、従来のように製品を「つくる」
だけでなく、適切に「処理する」ことでFRPという材料のトータルマテリアルサイ
クルを提案するということの重要性に議論が収束いたしました。
上記のような背景を踏まえ、当社におけるFRP設計、製造に関する長年の経験に裏
付けられた知見を生かし、FRPやその複合体の廃棄物処理を適切に実施するための
指示体系を協力企業と共に構築し、サプライヤチェーンを整備いたしました。これ
によりFRPやその複合体の廃棄物処理に特化した事業の立ち上げが可能となりました。
当社のFRP廃棄物処理への取り組みは国内外メディアでも注目され、
フランスパリで毎年開催されている世界最大の複合材料業界の展示会 JEC World。
その主催団体である JEC Group のプレスリリースに、当社のFRP廃棄物処理事業が取り上げられました。
今後は産業廃棄物処理を手掛けるにおいて適切な技術を有する企業との連携体制の
強化を推進する一方、FRPの廃棄物が適切に処理される産業構造の基礎を築き、
FRP産業の維持と発展に貢献したいと考えております。
今回のメルマガではFRPの廃棄物問題への取組ということについてご紹介しました。
次号メルマガでは、FRP製品の真実ということについてについて取り上げたいと思います。
当社では「FRP廃棄物処理」に関する高まるニーズにお応えすべく、
当社R&Dセンターの技術相談事業にて対応させていただいております。
FRPを取り扱っている方や今後取り扱いたい方にとっての一助となれば幸いです。