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第二回: メッキ/表面処理設備長寿命化 に効果がある アプリケーション 例 1~メッキ/表面処理槽

株式会社 FRPカジ メールマガジン

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┏┏┏┏ メッキ/表面処理設備長寿命化のための

┏┏┏┏  補修/改修へのFRP活用の基礎知識

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2019年7月1日

 

第二回: メッキ/表面処理設備長寿命化 に効果がある

アプリケーション 例 1~メッキ/表面処理槽

 

 

 

<目次> ━━━━━━━━━━━━━━━━

 

・「補修/改修へのFRP活用の基礎知識」

 

 

 

<補修/改修へのFRP活用の基礎知識> ━━━━━━━━━

 

FRPを用いた補修/改修の対象のアプリケーション例としては、FRP槽に加え、

槽設置のピット、付帯設備等があります。

そしてこれらの補修/改修を実現するためには、

劣化の特徴を理解した上で、その状況の診断を行うことが重要といえます。

 

今回はFRPによる設備長寿命化のアプリケーション例としてメッキ/表面処理槽を取り上げたいと思います。

 

槽といっても、現在使われているだけで数種類あります。

 

‐FRP槽~材質が全てFRP製

 

‐PVC(塩ビ)槽~材質が全てPVC(塩ビ)製

 

‐ゴムライニング槽~鋼鉄製槽にゴムライニングを施した槽

 

‐FRPライニング槽~鋼鉄製槽にFRPライニングを施した槽

 

 

大型の溶融メッキを行う工場では、内用液容量が30㎥近い槽も珍しくないため

FRP製が主流に使われています。この理由としては2点あります。

 

ひとつは、重量とコストで特に重量は鋼鉄製の場合FRPの5倍程度になり、移動が容易でないこと。

もうひとつは、コスト面でもこれだけ大型の鋼鉄製槽を製作する企業も少なく、製作後もゴムライニングやFRPライニングを施すので高コストであるためです。

 

電気メッキ工場では、ラインの構造や内用液薬品・容量によって、

PVC槽、ゴムライニング槽、FRP槽を併用するなど各工場で違いがみられ、

FRPライニング槽については新規製作が減っているようです。

 

先ずラインの構造ですが、流れるプールのような槽を楕円状に回るタイプと直線往復するタイプがあります。前者は一体の槽を薬液毎に分割してあり、後者は一体の槽内で分割するタイプと薬液毎に完全に独立した槽を並列するタイプがあります。

一体の槽ではコストや使いやすさなどによりゴムライニング槽かFRP槽が適用されており、独立した槽を並列する場合はPVC槽とFRP槽の併用でコストダウンを行う工場が増えています。

 

FRPライニング槽が減っている理由としては、構造に問題があると考えます。

FRPライニング槽の製作では、鋼鉄製槽に第一種ケレンを施してプライマー処理の後、FRPライニングの工程を行います。FRPライニングの厚みは2mm程度です。

しかしながら、メッキ/表面処理を行う薬液は温度が高くなるため、FRPライニングは高温環境にさらされることとなります。

その結果として、耐熱性や耐薬品性の高いハイグレード樹脂を使用しても薬液によりガラス繊維が腐食しやすく、さらに温度が高くなることにより鋼鉄とFRPの剥離も生じやすい状態となることから、メッキ/表面処理工場には不向きだと考えます。

 

ここでFRPライニングの厚みを厚くすれば上記の問題に対応できるのではないか、と考える方もいらっしゃると思います。

当然効果は見込めますが、一般的な耐蝕貯蔵槽における内面耐蝕層厚み(2mm)を基準としていることと、これ以上の厚みにする場合は新規のFRP槽とコストが変わらなくなることから、ライニングの厚みを厚くするにもFRPの技術的な特徴を理解した上でのアプローチが不可欠であると考えます。

今後のメルマガにおいて触れていきますが、FRPライニングの厚みを増す工法は非常に有効な工法であり、当社が改修/補修工事において行う特殊工法の要となっています。

 

次に槽の特徴について述べていきます。各槽で一長一短があります。

 

【長所】

 

・FRP槽~耐薬品、耐熱に優れ大型の製品でも軽量かつ高強度を保つことができる。

 

・PVC槽~耐薬品に優れ安価。

 

・ゴムライニング槽~耐薬品、耐熱に優れ安価。

 

・FRPライニング槽~耐薬品、耐熱に優れている。ゴムライニング槽に比べ補修が容易。

 

 

【短所】

 

・FRP槽~高価。

 

・PVC槽~熱に弱く低強度。

 

・ゴムライニング槽~腐食して内用液が浸透した場合に判明するまでに時間がかかり、補修も困難

 

・FRPライニング槽~FRP槽と違い接液面がライニングしたガラス繊維に近く腐食しやすい。

 

このような特徴があるので新規ユニットとしての導入時にはご参考にしていただきたいのですが、問題は導入後の保全対策です。

 

弊社の元に相談が寄せられる段階では、薬液が漏れだしたりゴムやPVC、FRPライニングが腐食若しくは破損して鋼鉄部に薬液が浸透してしまい、電気メッキを行う際に鋼鉄部と反応してしまっているケースもあります。

 

このような劣化の問題はメルマガ第5回に詳しく述べていく予定です。

 

次号以降の本メールマガジンでは、それぞれのアプリケーションについて、

劣化の特徴とその診断、改修/補修補方法の実例などを紹介しながら、

メッキ/表面処理工場の設備メンテナンスについての知見をお伝えしていきたいと思っています。

 

設備の老朽化や更新にお悩みの方にとっての一助になれば幸いです。