株式会社 FRPカジ メールマガジン
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2023年1月5日
第二十一回:FRP製品の真実~硝フッ酸を用いる企業の取るべき対策
<目次> ━━━━━━━━━━━━━━━━
・FRP製品の真実~ 硝フッ酸を用いる企業の取るべき対策
<FRP製品の真実~硝フッ酸を用いる企業の取るべき対策>
前回メルマガでは不適切な補修に対する自社技術を用いた緊急対応についてご紹介しました。
今回のメルマガでは前回ご紹介したような問題が起こらないために、
硝フッ酸を用いる企業の取るべき対策についてご紹介します。
前回のメルマガで述べましたが、
硝フッ酸を用いる企業側や設備設計・製造を請け負う企業側での、
当該酸による腐食や構造部材劣化に関連する正確な情報収集と理解が不可欠です。
同時に補修や改修を行う我々施工企業側も、
事前に硝フッ酸による腐食やこれら部材の劣化状況を把握する事が最適な対応検討と実施に重要である事を、
当社として改めて感じたことがあります。
それは、ある硝フッ酸槽の補修作業でのことでした。
そこでは恐らく同じような不適切な補修を繰り返されていました。、
その結果として槽の母材への腐食による薬液の漏洩を主といった、
安全や環境に多大な影響を与える事態が既に生じている、
もしくは起こるリスクが高まっている状況にありました。
このような状況は事前に当社に知らされていなかったため、
現地での対応に多くの困難が伴うことになったのです。
写真:補修の終了した硝フッ酸槽
そこで同様の事象の発生を少しでも抑制することを目的に、
硝フッ酸槽を所有する企業が理解し、
そして当社のような施工業者に伝えるべき点について述べたいと思います。
[硝フッ酸槽を所有する企業が理解すべき観点]
3点ご紹介します。
1. 槽の構造と材料、そして補修履歴の情報の保管と開示
「硝フッ酸槽の材料や構造、そして補修や改修の履歴に関する情報を保管し、必要に応じて開示できるようにする」
ということです。
母材の材質でどのような構造(形状に加え、材料構成等)は何か、という情報の理解が第一です。
図面はこのような情報が盛り込まれた最重要技術文書といえるでしょう。
また、強酸を入れるような層は、複数の材料を用いている可能性もあるため、材料構成まで把握しておくことが肝要です。
そして補修や改修としてライニングが行われている場合、
それはいつ、どのような材料を用い、どの領域に対して行われたのかという履歴を、
硝フッ酸槽を所有する企業として把握し、必要に応じて開示できる状態にすることが必要です。。
このような情報きちんと記録として保管し、いつでも開示できる状態にしておくことは、
補修が必要になった際、
施工業者としてどのような対応が必要かという指針を決めるにあたっての極めて重要な判断材料を提供できることになります。
2. 維持管理と必要に応じた補修や改修
「定期的なメンテナンスと必要に応じた改修や補修を行う」
です。
FRPに限らず、どのような耐腐食性の材料を用いたとしても、
硝フッ酸等の強酸の存在する環境において、
腐食というのは必ず進行します。
大切なのはその腐食劣化発生や進行の初期段階で把握し、
その進行を食い止めるための補修や改修などの対策を迅速かつ継続的に行うことにあります。
腐食進行を早い段階で捉えられれば捉えられるほど、
補修工事も簡易的なものにできるうえ、
結果的にメンテナンス期間の延長につなげることもできます。
3. 技術的な知見のある施工業者の選定
「強酸保管槽の補修や改修の経験が豊富で、対応方法を知る適切な施工業者の選定」
です。
今回ご紹介した事例でもわかるように槽の補修や改修において、
使用されている酸の種類、
母材の種類等をきちんと理解せず、
一般論や経験則で不適切な補修や改修が行われている事例が散見されます。
画一的な補修ですべてのケースに対して万能に対応することは極めて困難であり、
補修を行う施工業者は使用している薬液の特性を理解し、
そしてその薬液に耐性のある材料を適正に選定した上で、
漏洩や浸透を最小化する工法にて補修するという、
技術に対する徹底した姿勢が求められます。
「いつもお願いしているから、安いから」
といった今までの関係性やコストだけで施工業者を選ぶのではなく、
薬品や補修材料・工法に正確な技術的知見を有しているかを見極める、
というスタンスが必要かと思います。
当社では上述した問題解決の一助としていただくため、
を2021年9月より開始しております。
酸をはじめとした薬液漏洩の発生、
または発生の恐れのある化学プラントの設備について、
当社が施工の方向性を立案の上、
施工業者に対して現場にて指示することで、
確かな恒久対策案の施工対応までの業務対応をワンパッケージとした事業になります。
今回のメルマガではFRP製品の真実~硝フッ酸槽の劣化と不適切な補修並びにその対策の最終回として、硝フッ酸を用いる企業の取るべき対策についてご紹介しました。
全4回となりましたが、苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)やフッ酸系は接液面には、
FRPの場合、強化繊維にガラス繊維ではなく、
有機繊維や炭素繊維が必要であるという最低限の周知ができたと思います。
次号メルマガでは、FRP工場の真実~特定有機溶剤スチレンについて取り上げたいと思います。
FRPを取り扱っている方や今後取り扱いたい方にとっての一助となれば幸いです。