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FRP製品を笑顔と共に

第七回:FRP製品の真実~ 高精度手加工に向けた治具設計

株式会社 FRPカジ メールマガジン

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┏┏┏┏ ハンドレイアップGFRPの真実

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2021年11月1日

 

第七回:FRP製品の真実~ 高精度手加工に向けた治具設計

 

 

<目次> ━━━━━━━━━━━━━━━━

 

・FRP製品の真実~高精度手加工に向けた治具設計

 

 

<FRP製品の真実~高精度手加工に向けた治具設計> ━━━━━━━━━

 

前回のメルマガではFRPとダンボールとの相性について、

実際に段ボール製の椅子を利用し、実験した結果を盛り込みご紹介しました。

 

 

今回のメールマガジンでは、FRP加工に用いる高精度手加工に向けた治具設計についてご紹介させていただきます。

 

 

GFRP(ガラス繊維強化プラスチック)の成形法には昨今色々な新しい成形法が増えておりますが、当社では原点とも言うべきハンドレイアップ法を主体に成形しています。

 

ハンドレイアップ成形を行った後は加工作業が必要となりますが、一般成形品では電動工具などを用いて手加工が主流となります。

 

当社発行の技術レポートにおいても手加工をフォーカスしたレポートが多く、

ENG-REPORT-001~014のうち下記に記述した半分が手加工によるものとなります。

 

技術レポートはこちらからご覧いただけます。

 

https://bit.ly/3Gao7p0

 

‐「表面に凹凸のあるFRP製品の手仕上げ後の表面粗さ測定結果」 技術資料 ENG-REPORT-001

 

‐「手作業による穴あけ加工精度測定結果」技術資料 ENG-REPORT-003-rev.1

 

‐「3次元形状を有するFRP製品の手仕上げ後の表面粗さ測定結果」技術資料 ENG-REPORT-004

 

‐「自社加工したFRP穴加工用Drillの形状と加工物のX線CT評価」技術資料   ENG-REPORT-005

 

‐「FRP外観定量評価に対する表面粗さと光沢度の評価指標適合可否検証」技術資料  ENG-REPORT-007-rev.1

 

‐「手加工によるFRP平板の直線加工精度評価」技術資料 ENG-REPORT-012

 

‐「手加工によるFRPのR加工後の外観と精度評価」技術資料 ENG-REPORT-013

 

 

上記に記述した技術レポートのうち、

ENG-REPORT-013 「手加工によるFRPのR加工後の外観と精度評価」では、題目の通り手加工でFRP成形体に対してR加工を施しました。

 

 

技術レポートをご覧いただくとお分かりになりますが、加工を行ったFRP成形体を社内の三次元形状測定機等で検査した結果、

角部のR加工の狙い値との差、3Dモデルと合致した際の輪郭度の差が数値で表すと大きく乖離しているという課題が明らかになりました。

この課題を踏まえ、高精度のR治具を製作して追加工を行い次こそは

 

「究極の手加工」

 

を目指します。

従来のフリーの手加工と高精度治具を組み合わせることで、加工精度をどこまで高められるかについて検証を行いたいと考えています。

 

 

治具設計においては、現場でも使える手軽さと高精度の両立を狙いました。

 

材質としては腐食しにくく耐久性も高いSUS材を採用。

薄すぎると後述する加工部に当てた際に安定しないこと、

厚すぎると重くなるため、設計者だけでなく現場作業者も交えた議論の上で決定しました。

 

寸法精度としては、二次元寸法に加え、直角度等の幾何寸法に対してもμオーダーの公差を明記。

ノート欄で図面の要求値と1:1になるよう検査成績書を要求する等、徹底した品質要求を盛り込みました。

 

基準となる治具がきちんとできていないと、当社の加工技術改善の土台となる基準値がずれることになるため、

一切の妥協をせず、社内議論を繰り返しながら作り上げました。

 

基準面の設定、二重寸法の削除、寸法線の引き方やノート欄の記述方法まで、

技術的な議論を繰り返しすることも当社の技術者の基本スキル向上に不可欠であり、

当社の社風でもあります。

 

当該治具の使い方として、

現場では、実物の加工部に当てながら追加工を繰り返すということを念頭に置いています。

 

 

これらの要求値をすべて網羅するため、モデリングの後は当社の図枠に基づいた図面を作成。

複数の加工メーカーに治具加工を打診しました。

 

 

しかしながら、機械加工企業では多軸のNC加工機にモデルデータであるstlデータをインプットすれば加工ができるという盲信的な考えも多く、

当社の図面で要求した検査対応ができるという企業は少なかった、というのは意外な事実でした。

 

 

結果的に対応できるという返答をいただいた企業の数社から選定をし、

既に図面発注を行いました。

 

 

尚、治具は加工終了後に出荷検査と検査成績書を提出いただくのは当然ですが、

当社でも受入検査を行い、治具の形状妥当性を再確認する予定です。

これは検査機器とスキルを有する当社ならではのアプローチかもしれません。

 

 

このような品質保証に対する基本姿勢が、当社技術の強みの基礎であると考えます。

 

 

この治具を用いた追加工とその結果については、

追って技術レポートで公開したいと思います。

 

 

今回のメルマガではFRP製品の真実~高精度手加工に向けた治具設計についてご紹介しました。

 

 

 

次号メルマガでは、FRP製品製造の真実~薬液漏えい恒久対策支援ということについてについて取り上げたいと思います。

 

 

 

FRPを取り扱っている方や今後取り扱いたい方にとっての一助となれば幸いです。