株式会社 FRPカジ メールマガジン
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2024年9月2日
第四十一回:FRP製品の真実~塩酸使用工場での劣化注意箇所と劣化の要因
<目次> ━━━━━━━━━━━━━━━━
・FRP製品の真実~塩酸使用工場での劣化注意箇所と劣化の要因
前回メルマガではFRP製耐食機器劣化損傷判定への新たな取組について当社独自の劣化診断法として、目視検査に関して深掘りしてご紹介しました。
今回は劣化診断と関係する内容として、先日公開した技術レポート「JIS K 5600-6-1によるFRP耐食塗料とフッ素塗料の耐薬品性比較評価」技術資料_ENG-REPORT-021に関連し、塩酸使用工場での劣化注意箇所と劣化の要因について述べます。
〈塩酸を取り扱う工場の劣化の問題点〉
塩酸を取り扱う工場から、以下2点の劣化に関係する技術相談やお問い合わせが近年増加傾向にあると感じています。
1. FRP製タンク、スクラバー、配管等機器の腐食による劣化
2. 塩酸から発生する塩化水素(塩酸ガス)による周辺機器や工場建屋内の劣化
塩酸を保管するタンク本体に加え、その周辺の付帯設備の劣化に関する劣化が問題として顕在化しているのが分かります。
このように塩酸を取り扱う工場では、様々な箇所での劣化が生じます。
〈塩酸を取り扱う工場で認められる劣化要因〉
当社が2019年6月より発行を開始したメールマガジン、
メッキ/表面処理設備長寿命化のための 補修/改修へのFRP活用の基礎知識においても塩酸による劣化について触れていましたが、
それから5年経過した今までに塩酸を扱う数々の工場を拝見する機会を得られたことで、
問題点としてフォーカスすべき箇所が明確になってきました。
該当する箇所について以下に述べます。
FRP製タンク、スクラバー、配管等機器の劣化
FRP製タンク、スクラバー、配管等機器の劣化については、
塩酸だけでなく経年劣化によるものが多いと感じています。
これは20年から長いものでは40年以上前に製造された古い機器が多いのが一因と考えます。
当時のマトリックス樹脂や強化材の耐久性の高さによると考えますが、
40年もの間使用できることはメリットである反面、デメリットもあります。こちらは次回以降のメルマガで解説いたします。
周辺機器や工場建屋内の劣化
塩酸から発生する塩化水素によって劣化する周辺機器や工場建屋内は、
一般的にエポキシ塗装、フッ素塗装を施してある場合がほとんどです。
塗装自体は耐腐食性を有していますが、
ここで生じる問題は「浸透」という現象です。
これが劣化要因となります。
塗装表面に到達した気化した塩化水素(塩酸ガス)が塗膜内に浸透し、
最終的には母材に到達します。
結果、塩化水素は母材である金属を腐食させ、サビが発生します。
このサビが層状に幾重にも重なった後に塗装が剥がれ落ち、この時点で初めて劣化に気がつくケースがほとんどです。
外見からでは気が付かない場合もあるというのが、
浸透現象によって生じる劣化現象の厄介なところなのです。
今号では塩酸を取り扱う工場への新たな取組として、塩酸使用工場での劣化注意箇所と劣化の要因についてご紹介しました。
次号からは上記問題点の解決に向けての解説として、
当社発行の技術レポート「JIS K 5600-6-1によるFRP耐食塗料とフッ素塗料の耐薬品性比較評価」技術資料_ENG-REPORT-021での内容も交えて詳しく述べていきます。
FRPを取り扱っている方や今後取り扱いたい方にとっての一助となれば幸いです。