株式会社 FRPカジ メールマガジン
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┏┏┏┏ ハンドレイアップGFRPの真実
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2022年6月1日
第十四回:FRP製品の真実~不飽和ポリエステルの硬化不良発生
<目次> ━━━━━━━━━━━━━━━━
・FRP製品の真実~ 不飽和ポリエステルの硬化不良発生
<FRP製品の真実~不飽和ポリエステルの硬化不良発生 > ━━━━━━━━
前回のメルマガではFRP製苛性ソーダ貯槽補修方法についてご紹介しました。
今回のメルマガではGFRP成形ではベーシックなマトリックス樹脂である、
不飽和ポリエステルの硬化不良発生をご紹介します。
以前当社HPに「不飽和ポリエステルの硬化不良発生とその対応」というページを公開しました。
今回はその中の「不飽和ポリエステルの硬化不良」についてご紹介いたします。
当社ではガラス繊維を強化繊維とし、
マトリックス樹脂に不飽和ポリエステルやビニルエステルを用いたGFRPを基本材料とした成形物を設計、生産しています。
上記のうちマトリックス樹脂である不飽和ポリエステルについて、
以前より硬化不良とみられる現象が特に多く確認できるようになったことから、
社内においてこの現象を技術的観点から仮説を立案し、考察を行いました。
【硬化不良の現象】
継続的に製作をしているFRP製タンクの製造過程において、
SUS製部品にプライマー(ビス系ビニルエステル樹脂)を塗布します。
その後はGFRPに用いるマトリックス樹脂を準備します。
当社で使用する硬化剤であるパーメックNを主剤である不飽和ポリエステルに混錬後、
硬化を促進するために触媒としてナフテン酸コバルトを添加します。
ガラス繊維に上記の硬化剤と触媒を添加したマトリックス樹脂を含浸させ、
これらを上記のプライマー塗布済みのSUS製部品に積層することでFRP製タンクを製作します。
通常はおよそ5分で硬化が始まり、塗布した箇所も1時間も経過すると完全に硬化します。
しかし、
「少し硬化が遅いな」
と感じることが多くなってきました。
そこから数か月後、状況はさらに悪化し、
様々な場面で硬化遅延現象が多発するようになってきたのです。
当該現象が原因となり、タンクでの部品オーバーレイ部はガラス繊維の中のマトリックス樹脂が垂れて流れ出て白化する、
内面トップコート部はやはり流れて硬化しない、
といった現象が見られるようになりました。
初期対応として追加で加熱するといったことを行いましたが効果は限定的で、
硬化不良の根本的な解決にはなりませんでした。
今回のメルマガではFRP製品の真実~不飽和ポリエステルの硬化不良発生 という題目で、
硬化不良を起こるまでついてご紹介しました。
次回は、硬化不良が起こった際の当社が行った初期対応についてご紹介します。
FRPを取り扱っている方や今後取り扱いたい方にとっての一助となれば幸いです。