株式会社 FRPカジ メールマガジン
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┏┏┏┏ ハンドレイアップGFRPの真実
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2023年6月1日
第二十六回:FRP製品の真実~50年前に製作したFRP製品特性評価法
<目次> ━━━━━━━━━━━━━━━━
・FRP製品の真実~50年前に製作したFRP製品特性評価法
<FRP製品の真実~50年前に製作したFRP製品特性評価法>
前回までのメルマガではFRP製品の真実として、
50年後のGFRP製品として、特性の評価を開始した背景についてご紹介しました。
今回のメルマガではFRP製品の真実~50年前に製作したFRP製品特性評価法として、
評価内容の概要についてご紹介します。
※「50年屋外曝露されたFRPの特性評価」技術資料_ENG-REPORT-015
https://bit.ly/3Uo0bWT
【FRP製品特性評価準備と評価方法】
〈評価準備〉
今回評価対象としたのは、
1970年頃に製作された
FRP製のゴルフカートの屋根部分で、
強化繊維はガラス繊維(Eガラス)、
マトリックス樹脂は不飽和ポリエステルと想定しました。
本評価を行うまでの約50年間、屋外にて曝露されていたものになります。
表面(屋根の上部分)は白色をしておりゲルコート層で、
それに対して裏面は水性ゾラコート塗料の色である青色であることが確認できました。
各種評価を行うために用いる平板の切り出しは、
ハンドグラインダーで行いました。
FRP成形体は3Dの曲面や凹凸形状があったため
できる限り平面領域を狙い、
約220×750mmの寸法で切り出しました。
厚みは約3mmで3D形状を有するため、定盤に置いた際、一部に浮きが見られました。
当該平板から、
引張試験用の試験片を切り出すため切り出し加工を行いました。
〈評価方法〉
主に行った評価を以下に示します。
1. 引張試験
2. 引張試験後の試験片に対するX線CT測定
3. 硬度測定
4. FRPの繊維含有率測定
5. FT-IR測定
評価方法ごとに概要を述べていきます。
1. 引張試験
適用した引張試験規格はJIS K7164、試験片形状はタイプ2、試験片数は8本としました。
2. 引張試験後の試験片に対するX線CT測定
引張試験後の試験片について、
破壊位置や破壊形態の観察を目的にX線CT(NAOMi-CT 002L(アールエフ))測定装置を用いた非破壊検査を実施しました。
3. 硬度検査
硬度測定はバーコル硬度計(GYZJ 934-1型(Eurotherm))を用い、
FRP成形体から切り出した平板に対し、
4×3の合計12か所の硬度を計測しました。(計測は表面と裏面に対して実施)
4. FRPの繊維体積含有率測定
FRP中のガラス繊維の含有率算出はJIS K7052-方法Aに準拠して行いました。
引張試験後の3試験片について
破断部とひずみゲージ部を避けて、
切断機(FiNE CUT 32F300(平和テクニカ))にて切断の上、
材料の表裏面にあるゲルコートと水性ゾラコート塗料を除去したFRPを評価するサンプルに用いました。
サンプルは105℃に調温した乾燥機(DKN602(ヤマト科学))に入れて絶乾状態にした上で予め計量した磁器るつぼに入れ、
625℃に調温したマッフル炉に磁器るつぼごと入れて20分間焼成を行いました。
焼成後の重量、磁器るつぼの重量、絶乾状態のサンプルの重量から強化繊維の重量分率(含有率)を算出しました。
さらに、ガラス繊維密度2.6g/cm3、マトリックス樹脂密度1.2g/cm3として繊維体積含有率を計算しました。
5. FT-IR測定
FRPのマトリックス樹脂である不飽和ポリエステルの屋外曝露に伴う化学構造変化を捉えるため、
フーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR-6700(日本分光))を用いた測定を実施しました。
(評価サンプルは加工時に生じた粉体をサンプル)
今号では約50年間屋外で曝露されたFRP(ガラス繊維/不飽和ポリエステル)に関して、どのように特性評価準備と評価を行ったかについて概要をご紹介しました。
次号メルマガでは、FRP製品の真実~50年前に製作したFRP製品特性評価結果 として、
各評価結果について述べたいと思います。
FRPを取り扱っている方や今後取り扱いたい方にとっての一助となれば幸いです。