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第十二回:槽設置ピット劣化の特徴

株式会社 FRPカジ メールマガジン

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┏┏┏┏ メッキ/表面処理設備長寿命化のための

┏┏┏┏  補修/改修へのFRP活用の基礎知識

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2020年5月7日

 

第十二回:槽設置ピット劣化の特徴

 

 

 

<目次> ━━━━━━━━━━━━━━━━

 

・「補修/改修へのFRP活用の基礎知識」

 

 

 

<補修/改修へのFRP活用の基礎知識> ━━━━━━━━━

 

前回のメルマガでは劣化した FRP槽 改修 /補修を目的としたFRP適用法として、

改修案・補修案提示後の効果についてご紹介しました。

 

 

今回は槽設置ピット劣化の特徴について取り上げたいと思います。

 

本テーマを述べる前に、まずは槽設置ピットの役割について述べてみたいと思います。

槽に設置されるピットの主な役割は主に以下の2点になります。

 

 

【槽設置ピットの役割】

 

‐槽やその他設備からの排水・排液を排水設備に送るまでの経由地(排水機構に送る前の溜池)

 

‐槽の劣化や割れ等により液漏れを起こした場合のセーフティーネット

 

上記の通りピットの役割としては、排水や有害物質を含む排液である薬液が外部に漏れだすのを防ぐ抑止弁と言うこともできます。

そのため、槽設置ピットの劣化は槽から漏れ出た薬液によりコンクリート層に浸透して、土壌汚染や河川汚染を引き起こす、といった重大な問題に直結する恐れもあります。

 

 

 

【槽設置ピット劣化の特徴】

 

電気メッキ・表面処理工場と溶融メッキ工場では違いがあると思いますが、槽設置ピットは大きく分けると以下の3つタイプがあります。

 

・コンクリートのまま

 

・コンクリートの上に防蝕塗装実施

 

・コンクリートの上にFRPライニニング実施

 

コンクリートのままのピットは経年劣化による薬液腐食しやすく、

防蝕塗装、FRPライニニングの順で耐久性があがります。

 

しかし、耐久性が上がるといっても定期的にメンテナンスを行うことは必要です。

 

さらに槽内薬液漏洩や排水・排液がある場合は定期的に槽を移動してピット内メンテナンスを行うことは、

操業自体を停止するリスクがあるので長期休暇等になるケースがほとんどです。

 

長期休暇と長期休暇の間は3か月から4か月程あるので、

その間にメンテナンスを行えなければピットの劣化は進行します。

 

上述したそれぞれのピットの劣化の特徴として以下のようなことが挙げられます。

 

・コンクリートのまま

‐槽より漏洩した薬液(塩酸、硫酸、硝酸等)によりコンクリートに浸透して劣化し、

ゼリー状に変質する。

 

・コンクリートの上に防蝕塗装実施

‐排水や多少の薬品が含まれている低濃度の排液であれば劣化を防止できるが、

槽より薬液が直接漏洩した場合には早急に水洗い等により薬液を洗い流さないと、

上記の「コンクリートのまま」と同じ劣化状態となる。

 

・コンクリートの上にFRPライニニング実施

‐劣化するスピードは上記2つのものと比較して最も遅いが、

槽より直接漏洩した薬液にさらされた状態を放置しておけば、

最終的には母材であるコンクリートがゼリー状に変質した状態となる。

 

 

 

今回は槽設置ピット劣化の特徴についてご紹介しました。

 

槽設置ピット劣化の特徴を理解する第一の意義は、

 

「槽設置ピットから薬液が漏洩する前の段階で、その劣化を早期に検知して薬液の外部への漏洩を防ぐ」

 

ということにあります。

 

槽自体はもちろん、有害物質を含む排液である薬液の漏出を防ぐ最後の砦ともいえる槽設置ピットの劣化に目を向け、もし槽設置ピットに劣化の兆候が見られた場合は、工場の操業を停止してでも当該ピットの点検と必要な改修、補修といったメンテナンスを行うべきと考えます。

 

このようなアプローチにより、薬液の外部漏出という重大な問題の回避が可能になります。

 

 

今回のメルマガでは槽設置ピット劣化の特徴についてご紹介しました。

 

 

次号メルマガでは、劣化したピット改修/補修を目的としたFRP適用法1として、

改修/補修の方向性について取り上げたいと思います。

 

 

設備の老朽化や更新にお悩みの方にとっての一助になれば幸いです。