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第三十六回:FRP製品の真実~FRP製耐食機器劣化損傷判定への新たな取組 ~性能検査指針の妥当性

株式会社 FRPカジ メールマガジン

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2024年4月1日

 

第三十六回:FRP製品の真実~FRP製耐食機器劣化損傷判定への新たな取組

~性能検査指針の妥当性

 

<目次> ━━━━━━━━━━━━━━━━

 

・FRP製品の真実~FRP製耐食機器劣化損傷判定への新たな取組~性能検査指針の妥当性

 

前回メルマガではFRP製耐食機器劣化損傷判定への新たな取組として、

耐食機器のFRPS C003-2018 ガラス繊維強化プラスチック製耐食機器の性能検査指針(以下、性能検査指針)から考える劣化診断についてご紹介しました。

 

今回は前回のメルマガでも簡単に触れた、

FRP製耐食機器劣化損傷判定への新たな取組~性能検査指針の妥当性についてご紹介したいと思います。

 

【性能検査指針で利用価値の高い4段階の損傷等級】

 

性能検査指針で妥当と考えられるのは、その目的にも掲げられている損傷事故を未然に防ぎ、

FRP製耐食機器を正常に稼働させるために損傷の程度毎に4段階(下記参照)に分けたことです。

これにより目視や触手等の検査であっても、

明確な指標に基づき判断することが可能です。

 

損傷等級1:引き続き使用しても差し支えない。

損傷等級2:引き続き使用しても差し支えないが、1年(又は半年)後に劣化の進行度合いを再検査する。

損傷等級3:損傷部を部分補修後、再使用する。

損傷等級4:使用を停止し、全面的補修又は取り替えを行う。

 

※出展:FRPS C003-2018 ガラス繊維強化プラスチック製耐食機器の性能検査指針

 

上述した損傷等級によって判断することは補修・改修工事や更新のタイミングを把握するためには非常に大事な事です。

 

この損傷等級を決定するためには判定基準が必要となりますが、

この辺りも明確に記してあります。

 

1)       外観検査

劣化・損傷の程度を等級1~4に分類し、これを損傷の形態ごとに判定する。この判定結果により、等級分類に従って強化プラスチック製耐食機器の継続使用、補修、使用停止等の措置を判断する。

 

2)       強度試験

機器の劣化・損傷の程度を代表する部分を一部切り出して強度を測定し、設計に使用した強度との比較を行う。

 

判定は以下による。

 

測定値≦(設計時の)限界強度

又は、測定値≦初期強度/環境による強度低下を考慮した係数の場合には、使用を停止し、全面的補修又は取り替えを行う。

 

※出展:FRPS C003-2018 ガラス繊維強化プラスチック製耐食機器の性能検査指針

 

このように外観検査や強度試験を行う結果に応じた判定基準を設けるのは、

現状の劣化診断において必要不可欠と考えます。

 

外観検査において損傷等級を4つに分けることで、

劣化診断を依頼された方に対して状況を分かりやすく伝えられる事が期待されます。

 

加えて、一般社団法人強化プラスチック協会が発行している性能検査指針であるため、

劣化診断結果を依頼した企業の方々が納得しやすいという観点もあります。

 

私的には損傷等級3の部分補修から損傷等級4の更新までが飛躍しすぎているので、

もう1つ等級を追加し、部分的でなく全面的な改修・補修があるとよいと考えます。

 

【損傷等級以外で妥当と考えられる内容について】

 

上記の損傷等級の規定以外にも例えば性能検査指針内、以下の記述内容は妥当であると考えます。

 

 

・ 用語の定義

割れ、剥離、変色といった一般的なものに加え、

白化や溶出、ピンホール、ピット等の用語が定義されています。

 

劣化の状態を共通言語で議論する際の一助となります。

 

ただし留意すべき点もあります。

 

一例として「変形」も劣化診断における用語として定義されていますが、

変形を劣化診断の指標にするためには初期状態の形状計測を行っている必要がある等、

経時変化を議論する際にはその“基準”の存在が必須となることには注意が必要です。

 

・ 報告

劣化診断を行った際、どのような項目を網羅すべきかの検討に役立ちました。

当社においてもこの“報告”で述べられた内容を網羅する報告書の構成を採用しています。

 

・ 損傷の形態と等級および措置

冒頭でも述べた通り損傷等級は劣化診断に有用です。

ここではさらに各目視要件に対してそれぞれどのような状態を指すのか、

また損傷等級に応じて何の措置が必要なのかといったことが一覧表として述べられています。

 

最終的な措置にまで踏み込んだ情報を俯瞰的に網羅できるため、

劣化診断後に当社としてどのような補修改修を行うべきか、

という検討の一助として活用できると考えます。

 

・ 劣化状態に関する「意味/範囲/原因、測定方法、判定」

劣化診断において見るべき状態を示す各用語について、

一つひとつ意味/範囲/原因だけでなく、

測定方法や判定の記述があります。

 

一例として変色・脱色について述べます。

ここでは上記の用語に加え、

一覧表にて薬液の種類と変色した際の色調について記述があります。

 

実際には強化繊維やマトリックス樹脂の種類などによっても異なりますが、

薬液によって色が異なることの理解につながることから、

社内教育の一環として活用できると考えます。

 

そして、このような判定方法は当社における劣化診断業務の抜け漏れ有無確認と、

当該作業精度の向上に役立っています。

 

上述した性能検査指針の内容は妥当であると考えており、

当社の劣化診断業務の参考情報として今後も活用していきたいと考えています。

 

今号ではFRP製耐食機器劣化損傷判定への新たな取組~性能検査指針の妥当性についてご紹介しました。

 

 

次号メルマガでは、FRP製耐食機器劣化損傷判定への新たな取組~性能検査指針の検討必要性について詳しくご紹介したいと思います。

 

FRPを取り扱っている方や今後取り扱いたい方にとっての一助となれば幸いです。