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第三十七回:FRP製品の真実~FRP製耐食機器劣化損傷判定への新たな取組 ~性能検査指針の検討必要性

株式会社 FRPカジ メールマガジン

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2024年5月1日

 

第三十七回:FRP製品の真実~FRP製耐食機器劣化損傷判定への新たな取組

~性能検査指針の検討必要性

 

<目次> ━━━━━━━━━━━━━━━━

 

・FRP製品の真実~FRP製耐食機器劣化損傷判定への新たな取組~性能検査指針の検討必要性

 

 

前回メルマガではFRP製耐食機器劣化損傷判定への新たな取組として、

耐食機器のFRPS C003-2018 ガラス繊維強化プラスチック製耐食機器の性能検査指針(以下、性能検査指針)から考える妥当性についてご紹介しました。

 

今回は前回のメルマガでも簡単に触れた、

FRP製耐食機器劣化損傷判定への新たな取組~性能検査指針の検討必要性についてご紹介したいと思います。

 

【性能検査指針の中で修正検討が必要な箇所】

 

前回メルマガで少し触れた通り、

損傷等級3の部分補修から損傷等級4の更新までが飛躍しすぎているため、

部分的でなく全面的な補修を行うという等級を追加すべきと考えています。

 

これを踏まえて損傷等級4を追加し、

下記の通り損傷等級5までとすることを提案したいと思います。

 

 

損傷等級1:引き続き使用しても差し支えない。

損傷等級2:引き続き使用しても差し支えないが、1年(又は半年)後に劣化の進行度合いを再検査する。

損傷等級3:損傷部を部分補修後、再使用する。

[新規追加提案]損傷等級4:損傷部を全面的に補修後、再使用する。

[現損傷等級4]損傷等級5:使用を停止し、取り替えを行う。

 

※出展:FRPS C003-2018 ガラス繊維強化プラスチック製耐食機器の性能検査指針

 

 

損傷等級3の部分補修から損傷等級4の全面更新までが飛躍しすぎていることを念頭に置いています。

「使用を停止し、全面的補修又は取り換えを行う」という従来の損傷等級4にあった全面的補修と取り替えを分離しています。

 

【修正検討が必要な理由】

 

新規耐食タンク等を製造するFRP耐食機器メーカーが、

納入先工場より劣化診断を依頼された際に早目に損傷等級4(既存値)の判定をおこない、

全面補修でなく更新になるケースが多いことが、上記修正が必要と考える一因です。

 

これは悪いことではなく安全性を重視してとのことと理解しています。

 

なぜこのように早目の更新が必要なのか当社の考えを申しますと、

耐食タンク製造に用いるFRP材料に関する情報が少なすぎるからです。

 

FRPには材料の仕様を明記した材料規格がないことから、

材料特性の初期値からの変化と設計要件を満たすか否かの比較ができず、

正確な劣化診断を行うことが困難です。

 

例えばSUS304を使用したFRP製タンクの場合、

SUS304という材料規格により材料の初期特性情報が明確です。

そしてSUS304は疲労特性に関する評価結果も存在し、

例えば以下のようにSUS304の疲労特性であるSN線図の一例を見ることができます。

 

※SUS304の疲労特性評価例

https://x.gd/qQyEJ

 

よって、例えば10年経過した場合、

どの程度材料強度が低下するかの情報を得られるため、

設計要件と疲労強度を比較することで交換が必要か否かの判断を行うことも可能です。

 

その一方でFRPの場合、

製品図面に使用マトリックス樹脂や強化繊維構成の記載はあるとしても、

強化繊維の含有量やマトリックス樹脂の主剤、硬化剤の配合比に加え、

成形時の加圧条件等の製造条件の違い等によって

FRP成形体の材料特性は異なる数値を示します。

 

このように基準となる材料の初期値が不明瞭な現状では劣化に伴う材料特性変化がわからず、

どのような劣化診断を行っても参考程度となるため、診断精度に課題が残ります。

 

従って安全性を考慮し、早目の更新を進めることしかできないと考えます。

 

今号ではFRP製耐食機器劣化損傷判定への新たな取組~性能検査指針の検討必要性についてご紹介しました。

 

次号メルマガでは、FRP製耐食機器劣化損傷判定への新たな取組~当社独自の劣化診断法について詳しくご紹介したいと思います。

 

FRPを取り扱っている方や今後取り扱いたい方にとっての一助となれば幸いです。