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FRP製品を笑顔と共に
2022-03-29

マンション管理組合様よりご依頼いただいた貯水槽の劣化診断~【FRPエンジニアによるコラム】より

今回のコラムでは某マンション管理組合様よりご依頼いただいた、貯水槽劣化診断について、概要を述べたいと思います。

マンション貯水槽

 

依頼元より示された情報と要望

依頼において、以下のような情報と要望が事前に示されていました。

 

「マンションの管理会社から貯水槽の天井部分が日焼けし、

劣化が見られるとの事で天井補強ライニングと劣化防止コーティングを勧められています。

FRPを追加積層して補修するほどのものではなく、樹脂のみのコーティングもしくは、

紫外線カットの塗装ですませられないかと思っています。

特に天井板は水圧がかかるものでもなく、強度の心配も不要と考えています。

また、側面は見たところ何も問題ないように見えます。

周りにブロック塀や建物があるので、太陽光線を浴びにくい、

という状況も幸いしているように思います。

そのため、できれば補修対応は塗装だけですませたいと思っています。」

 

依頼内容として、管理組合の方で工場管理を熟知されている方がいたおかげもあり、

具体的に疑問点をいただき状況は把握できました。

貯水槽劣化診断

現場での劣化診断とそれを踏まえた補修の方向性

劣化診断は超音波厚み測定機によるFRPの厚み測定、

バーコル硬度計によるFRPの硬度測定、

高所カメラによる貯水槽内部検査、

検査員による目視検査と触手検査を行うのが通常の流れです。

 

しかし現地に実際に行ってみると、天井部はエンボス加工により超音波厚み測定が不可、

側面底面部は寒冷仕様により保温が施されており、

外部からの超音波厚み測定・バーコル硬度測定も不可となりました。

 

実際に劣化診断を行った結果、劣化の状態にはばらつきがあり、劣化しているか否かの判断自体が難しい領域もありました。

バーコル硬度検査

劣化診断結果を基に社内で検討を行った結果、

明らかにバーコル硬度が低いと認められた箇所のみにオーバーレイを施すことが妥当であると判断しました。

他の箇所は現段階のデータだけでは判断できないため、今回のデータを一指標として、

数年後改めて検査することで、

相対比較を基本に劣化状態を判断することを提案し、

劣化診断報告書を作成、提出しました。

 

今回の劣化診断を通じて感じた事は、

マンションの日常生活を支える貯水槽に関して設置時から今後数十年先まで付き合っていくのは、マンションの住人。

マンションを建て今までに維持するためには色々な業者が携わっていますが、

結局は業者の範囲は限定的で住民が考える

 

「コストをかけずに長寿命化」

 

という思考にはならないのが現実だと強く感じました。

 

 

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